この頃自分がおかしいのがわかる。

そうよく女子にあるあの現象が起きているのだ。

好きな奴を無意識に目で追うという……あの現象が。

(あり得ねぇ……)

しかも相手はあの鬼道だ。

俺は気づけばあいつを目で追っている。それに気づいたのはマネージャーであり鬼道の妹である音無の一言だった。

『なんでいつもお兄ちゃんを見てるんですか?』

この俺が誰を見てるって?

聞き間違えだと思って目を細めると変なことをこいつは言ってきたのだ。

『あ そうか 不動さんってお兄ちゃんが好きなんですか!?』

『はぁ?』

間抜けな声が出たなと今でも思う。

(なんだってんだよ……)

あれから鬼道をみるとなんかこう……よくわからない感情に襲われる。

(あの女のせーだ)

舌打ちしながら音無を見ればこちらをみてにこにこしている。

(あいつ……)

「おい 不動」

呼ばれて顔を上げれば鬼道が立っていた。

「あ…?ああ 鬼道クン どうした?」

「いや…大したことではないんだが」

「……」

横目で音無を見れば頬を赤らめてこちらを凝視している。

「……で なんだよ」

「……なんでお前はいつも」

鬼道は躊躇いながらもじもじしている。

(一体 なんだよ)

「いつも……俺を見てるんだ」

「は?」

俺は少し後ずさる。

まさか気づいていたのか。

「べーつに?見てちゃいけねぇ理由でもあんのか?」

「い いや…そうではない」

もうここは見てることを隠さないことにする。鬼道にはぐらかしても意味はない。

「た ただ……気になるだけだ」

「ふーん 何で気になるんだよ」

「お お前こそなんでいつもいつも…」

「だから別に」

「な なら俺だって気になるもんは気になるだけだ」

「ふ どーせ 練習に集中できないとか言うんだろ?は!いいねぇ天才さんは」

「違う!!そうじゃない!!」

「は?何が違うんだよ?!そうだろ?俺が憎いんだろ?ああはいはい 鬼道クンの邪魔なんかしねぇよ する気もねぇよ」

「違う!!俺が言いたいのは……」

「うっせぇな!!さっさと練習しろよ!!お前なんかもう視界にもぜってぇいれねぇよ!!」

「……だから、違

「いい加減にしてください!!」

止まない口論に割って入ってきたのは音無だった。よく見ればチームの奴らがじっとこちらを見ている。

「は 春奈……」
「お兄ちゃん達 もうやめてよ……二人とも本当は……」

「ち 面倒なやつら うっぜ」

「不動さん……」

俺は鬼道達に背を向けて歩き出す。鬼道は「ま 待て!!」と言ったが聞こえないふりをする。

“二人とも本当は……”

音無の言葉が蘇る。

(あいつ 何が言いたかったんだ……?)

全然わからない。






















なんかねばいいのに
(そうすれば俺は無関心でいられるはず)










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久しぶりの不鬼……
いや不→(←)鬼
今回は不動たんメインですが
次の時は鬼道たんメインでいきたいです




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