「ふざけるなよ」 俺の声が静かな教室に響く。胸ぐらを掴み、睨む。神童は悲しそうな、怯えているような目をして俺を見ていた。 「ふざけて、……ない」 「何だと?」 首を絞めていっそ殺した方が誰にもこいつを取られなくて済むような気がした。俺は神童の胸ぐらを離すと奴は乱れた衣服を整え始めた。俺は衣服以下かよ。 「いい加減にしろよ、何度言えば分かるんだ」 所謂、付き合っている俺達は俺達のルールを作った。神童も了承してくれた。なのに、神童はルール違反ばかりする。女子に告白されたら絶対に断る、という簡単なものなのだが神童は優しいから一回遊ぶぐらいなら、とか一緒に帰るだとかいつも断りきれなくてこういうことになる。 「だ、だだから……それは謝ってるだろ」 「もう、聞き飽きた」 「今回だけだから……頼む」 「どうせ駄目だって言っても行くんだろ」 神童は俯く。 「ご、ごめん」 神童が本当に申し訳なさそうに言うものだからいつも許してしまう。俺はため息をつくと「もう良いよ」と言う。 「本当に優しいよな、お前は」 俺なんてこんなちょっとのことで女子に嫉妬して神童に当たるのに。神童はくすっと笑うと「いや、そんなことない」と言ってきた。 「今度はちゃんと断る」 「そうしてくれよ……?」 神童はにこっと笑うと「ああ」と頷いた。何度この返事を信じたのだろう。俺は神童に軽くキスをした。 つい、霧野の怒った顔が好きでルールを破ってしまう。女の子みたいな容姿の彼だからこそ怒った顔は堪らなくかっこいいのだ。本当に好きだ。だから胸ぐらを掴んで睨むだとか本当に霧野がかっこよくてさすが俺の彼氏だと感心する。 (もっと、霧野を怒らせたい) だって、好きだから。 怒った顔が堪らなく好き (彼にはまだ内緒) ---------- 嫉妬した蘭ちゃんが拓ちゃんに 意地悪する話です 意地悪……? これが私の限界でした…! でも、二人はルールとか作ってそう!! 素敵なリクエストありがとうございます! またよろしくお願いします!! 120204 |