今日こそ先輩に自分から話しかける。いつも自分の横で練習をしているのだから別に話しかけること自体は不自然ではない。問題は話すことがぶっちゃけ無いということだ。何をどうすればあの無愛想でツンっとした先輩をくすっと笑わせられるだろうか。俺は最近こればかり。同じポジションだから少しでも先輩のことを知りたい。それはそうなのだが、別にそれだけというわけではなかった。

先輩、……まぁ倉間先輩はどうやら転校してしまった南沢さんに憧れていたらしい(これは浜野先輩から聞かされた)。

だから俺の背番号を見る度に悲しそうな悔しそうな顔をする。俺はそれが気になっていた。

このことを兄さんに話した。兄さんはくすくす笑いながら「本人に聞いてみなよ、京介だったら大丈夫さ」と言うのでとりあえず話そうと今に至るが、

俺もこの性格だ。いきなり話しかけたりしたら倉間先輩はきっと変に思うに違いない。

(何て話しかけよう……)

「剣城、」

聞き覚えのある声にびくっと驚きちょっと下を見るとやっぱり倉間先輩だった。

「く、倉間先輩……」

「んだよ、休憩だっつーの……聞こえねぇの?」






ドリンクをマネージャーから貰いさり気なく倉間先輩の横に座る。偶然か必然か、浜野先輩達は三国先輩とお話中だ。いつも話しかけてくる松風達も今はマネージャー達と楽しそうに話している。

「何、」

倉間先輩は一言呟いた。俺は「いえ、」と言うと彼はドリンクを飲んだ。

「倉間先輩、」

「……何だよ」

「ちょっと聞いてもいいですか」

倉間先輩は黙っていた。

「俺のこと、嫌いですか」

「は、?何それ意味わかんねぇ」

「南沢、さん」

倉間先輩は目を見開く。ああ、やっぱり。俺は話を続けた。

「先輩の憧れは南沢さんだって、浜野先輩から聞きました」

「ち、浜野のやつ……」

先輩はキッと浜野先輩を睨んだ。

「だから、俺のこと嫌いですか?」

「……何で?」

「南沢さんの背番号を奪ったのは俺だから、ですよ」

倉間先輩は俯いた。

「……別に、剣城のこと…嫌いじゃない」

俺は「そうですか」と言うと先輩は話を続けた。

「南沢さんは、別に……もう、仕方ないしさ……全部が全部、剣城のせいじゃねぇし、」

「なら、何でそんなに悲しいそうに俺をいつも見てるんですか?」

先輩はこちらを見てはくれなかった。俺は目を細める。

「そんな先輩を見ていると俺は辛いです」

先輩はバッと顔を上げてくすっと笑った。

「なんだよ、それ」



























やっと笑ってくれた
(嬉しいなんて、そんな)










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剣城難しいですね……

京倉南っていいと思いませんかっ




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