ぼーっと空を眺める。横には南沢さん。

俺は「南沢さん」と声をかけると彼は首を傾げて「んー?」と言う。

「今日、暇でスか…?」

「別に、暇だけど?」

にこりともしない彼はそう言った。俺は「なら、家に寄ってかないスか?」と言う。

「いいけど、ゲームならし飽きた」

「え、」

「だって、お前弱いから」

「それは南沢さんが強すぎなんでスよ」

「なにそれ、褒めてんの?」

くすっと笑う南沢さん。

(あ、笑った)

ほっとする。

南沢さんはあまり笑う人じゃないから俺がこの人を楽しませたくて、

「今日こそ、負けねぇスから」

「ほんとかよ」

「本当でス」

「なら、俺が勝ったら何か奢れよ」

「は、はぁ?」

「だって自信あんだろ?」

俺は少し考えると南沢さんに「わ、わかりましたよ…」と言う。

「じゃあ、放課後な」

立ち上がり、俺に背を向けて歩き出す。俺ははぁ、とため息を漏らしながらまた空を眺めた。

(俺も大変だなぁ)

南沢さんを家に誘うのにこの調子。

本人はきっと気づいているに違いない。

(ぁあ…も、嫌)

でも、なるべくあの人とずっと一緒に居たくて……

胸がもやもやする。

「何で、だろ」






「南沢さん」

ハーフタイムで南沢さんがトイレに行くのを見て俺も後をつけた。

彼は俺が目の前に現れた時こそ驚いていたが、すぐに無表情になった。

「なんだよ」

「……南沢さん」

彼は首を傾げてもう一度「何?」と聞いてきた。俺は溢れ出す涙を堪えながら震えた声で呟いた。

「な、んで……?ど…して?」

「月山国光のこと?」

俺は頷く。すると、南沢さんは鼻で笑って「お前等のせいだ」と言った。俺は驚いて顔を上げる。南沢さんは無表情でこちらをじっとみていた。

「お前等がシードに逆らうから、俺は雷門を抜けたんだ」

その言葉はやけに響いた。俺は「そん…な」と言うと彼は俺に言った。

「お前等がどれだけ愚かか思い知るが良い」

「南沢……さ、ん」

彼はそう言うと何も言わずにトイレを出て行った。本当はもっと言いたいことが沢山ある。追いかけてあの人を止めなきゃいけないのに、足が動かない。

昔のように家に誘うことも、もう出来ないのか?俺がいけなかったのか……?どうして、こんなはずじゃなかったのに。

「み、南沢……さん、」

俺にはどうすることもできない。






















貴方自分
(俺は落ちていく、あの人の闇に)










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倉間……私も悲しい
南沢さん、ああ





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