「京介」 呼ぶとにこっと笑って「どうしたの?兄さん」と言ってきた。 「うーん、呼んでみただけだよ」 俺もにこっと笑う。 「そういえば、最近サッカーどう?」 「え、ああ……」 この言葉は京介を暗くする台詞。何故かよくわからないけど京介は「サッカー」という言葉を言うと俯く。 一時はいじめなど考えたが、この強気な弟がまさかいじめなどにはあっていないだろう。 そんなある日、京介は試合に出ずに俺の見舞いにきたのだ。 「試合……出ないのか?」 そうきくと「うん」と言う。 「あいつらは10人で戦えるから」 「え、でも」 テレビに映る雷門イレブンはみんなボロボロだ。しかも先制されている。 「京介、今行けば試合には間に合うよ」 「いいんだよ、兄さんは気にしないで」 京介はそういうと「飲み物を買ってくる」と言って病室から出て行った。 (絶対、おかしい) そう思って車椅子で京介の後を追った。 すぐに京介を見つけ、声をかけようとしたら変な男と一緒にいた。 (お話中か……) 「雷門が帝国学園に勝ったら、貴方のお兄さんの手術費は出しませんよ」 (え、) 「大丈夫です。あいつらは10人なんですから」 (きょ、京介……?!京介は俺の為にサッカーを……我慢しているのか?!) 胸が張り裂けそうだった。 だから、 「お前は俺達のサッカーを裏切った……出て行ってくれ」 京介は戻って来ない。 ふと、テレビをみると雷門のユニフォームを着た京介の姿。 「京介……!」 テレビをじぃと見つめる。 点数を見れば後、一点で雷門が勝つ。 京介がパスをもらいゴール前でボールを蹴ろうとしていた。 「頑張れ!京介!」 俺はテレビに向かって叫んだ。 ちょうどその瞬間、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。 君まで届け、俺の想い (それは俺の想いでお前の想いで) ---------- なんだこーれ……あわわ 優一兄ちゃんが好きすぎて辛い! |