「俺、お前が好きかもしれない」

ビチャ ボトッ

なんだかそんな音がした。下を見ればストロベリーのアイスが落ちていた。俺は「大丈夫か?」とハンカチを彼に渡そうと差し出す。

バチンッ バサ

今度は痛々しい音が聞こえた。俺は「今日は一段と機嫌悪いな」と苦笑すると「馬鹿にはお似合いさ」とさっき落ちたハンカチを踏まれてしまった。

あ、最近買ったばかりだったのに。

「なぁ 不動」

彼を呼ぶ。でも彼はさっき落ちたアイスをじぃと見つめながらハンカチをごしごしと踏みつけていた。

「不動」

もう一度呼んでみる。彼は俺を無視しているみたいだった。

「俺のバニラ食べるか?」

「お前の食いかけなんかいらない」

と言われてしまった。

「だけど、不動のアイスが……」

「別にいい」

俺は「なら、いいんだが」とバニラを頬張る。不動は俺よりも落ちたアイスが熱を吸収したアスファルトで溶けるのをずっと見ている。

「不動」

返事を待ったがなかった。

「俺は嘘つかないからな」

そう言うと不動はちらっと俺を見てまたアイスを見つめる。出来たらアイスより俺を見てほしい。

「不動は俺が好きか?」

返事を待つ。だが、返事はない。

不動はアイスを見ている。俺はさすがに苛立ちを感じ不動が見ているアイスを豪快に踏みつけた。

「な、なにしやがる」

「こっちの話、きけよ」

低い声でそう呟けば不動は一瞬、強張った表情を見せたがすぐにいつもの不動に戻ってしまった。

「俺のことどう思ってる?」

「馬鹿」

「好きか嫌いかだ」

「嫌いじゃねぇけど好きじゃない」

「嘘」

そう言うと「ふざけんな、嘘じゃねぇよ」と言われた。

「俺は不動が好きだ」

不動はまた黙る。

「付き合わないか……?」

不動の肩を掴む。

「離せ」

「離さない」

「ふざけんな」

抵抗してくる不動を抑える為に抱きしめる。

「な、ぁ…か、風丸!!お前、ふざけんなよ!!」

「ふざけてなんかない!!」

ぎゅっと不動を抱きしめる。不動がどんな顔をしているかわからない。

「俺はお前が好きなんだ……」

「やめてくれ」

「だから、お前が欲しい」

「……おい、やめろって」

「頼む……不動」

不動は「馬鹿じゃねぇの」と言った。

「悪いけど、無理」

「じゃあ、何もしない!そばにいてくれるだけで……今まで通りでいい、だからっ」

「なんだよ、それ」

不動が俺から無理矢理離れる。

冷めた目で俺を見た。

「馬鹿だな、お前」

そう言って不動は俺に背を向けて歩きだした。

「ふ…ど、」

また、同じように断られてしまった。

(もう……何回目だろう)

不動は本当に俺が嫌いなのだろうか。

頭を抱える。

「そうだ、今度はいつ告白しよう」






















悪いけど諦める選択肢はない
(お前も俺が好きになるはず)










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なんだろう……これ
フられてもフられても頑張る風丸さん





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