待ち合わせた場所が間違いだった。 例えば店の中とか、せめて駅のところとかにすればこんなに苦労はしなかっただろう。偶々早く来てしまったことを後悔しながら溜め息をつく。 「な、何か……冷たい物でも、買ってきますか?」 苦笑しながら横で俺と同じように後悔しているであろう神童が言ってきた。 「え、ああ……だいじょーぶ」 「南沢さん…、だって凄い汗ですよ」 「お前も同じ」 神童は「え、そりゃ……暑いですから」と笑った。 「倉間。後で殺す」 「み、南沢さん…」 「よく考えてみろよ、おかしいだろ?日本は夏だ。なのにこんな日陰もねぇようなアスファルトの熱がじわじわ伝わるこんなところを待ち合わせにするか?これはあいつの作戦だ」 「さ、さく…せん?」 「そう、俺達を熱中症で殺す気なんだよ」 「いや、いやいや……それは」 「フォローなんかすんな、ち……あの野郎」 神童はあわあわと笑っている。 「つか、遅い」 「ですね……待ち合わせの時間まで後、何分もないのに……おかしいな」 「……神童」 「は、はい」 「水……ある?」 「え、あ、はい……でも、飲みかけですけど……」 と神童はペットボトルに入った水を差し出した。 「別にいいから、飲んでいいか?」 「はい、どうぞ」 俺は神童から水を受け取るとすぐさまフタをあけて飲む。 じぃ、とそんな俺を見ている神童。 (ん、?) 何で神童は俺をこんなに見てるんだ? 俺はペットボトルにフタをして神童に「さんきゅ」と返す。 「え、はい」 ちらっと神童を見るとじぃとペットボトルを見ながら頬を赤らめていた。 「どうした?」 「え、あ……なんでもありません」 と慌ててペットボトルの水を鞄にしまいはじめた。 「それにしても……倉間」 「南沢さん、もう待ち合わせの時間になります」 「まさか、遅刻してくんじゃねぇだろうな?」 「連絡ないですし……それは、」 「いや、ある」 神童は目を見開いた。 「この前なんて待ち合わせに俺、30分遅れたんだけど倉間その後にきたんだぜ?」 「遅れるって連絡をしたからじゃないんですか……?」 「いや、しなかった」 神童は苦笑する。 「そういえば俺もそんなことありましたよ」 「お、きかせろ」 「霧野と倉間と待ち合わせした時なんですけど」 「うんうん」 「霧野と俺は待ち合わせ時間前には来てたんですよ。今日みたいに…」 俺は苦笑する。 「でも倉間は結局来なかったんです、二時間も待ったのに……」 神童は少し目に涙をためている。 「倉間め……マジ殺 「俺がどうかしたんスか?」 殺す、と言おうとしたらちょうど良いタイミングで倉間が来た。ちらっと携帯を見ると待ち合わせの時間から五分経過している。 「倉間……」 「なんスか」 「遅れるとはいい度胸だな?それと、神童に謝れ!!」 「はぁ?!!」 倉間と俺が言い合う。神童はあわあわしながら俺達を止めようとしている。 「南沢さんも倉間も落ちついてください!!」 「たく、神童は焦りすぎ」 「焦りますよ……そりゃ」 そんな俺達を見て倉間が一言きいてきた。 「二人共、何かあったんスか?」 不思議そうにきいてくる倉間。 俺は神童を見る。 「なんでもねぇよ、な?」 「はい、なんでもないですよ、ね?」 彼が来るまでのふたりきり (ドキドキしたり、ワクワクしたり) ---------- つまりですね 拓人くんは南沢さんとはじめて二人きりになったわけですね はじめて遊ぶ友達とふたりきりになると私はワクワクドキドキします← thanks title 確かに恋だった |