「三国」

馴染んだ心地よい声がしたので「何だ?」と優しく声をかけるとやっぱり南沢が立っていた。

「どうかしたか?」

「別に、ただ一緒に帰ろうかなーって」

「な、」

何だって……?

南沢が俺と一緒に帰ろうと言ってきた日はだいたい何か俺に不満がある時だけだ(もう小学生の頃からの付き合いなので知りたくなくても知ってしまった)。

「そ、そうか……わかった、帰ろう」

「おう、先に行ってその辺で待ってる」

南沢は部室を出て行く。

(……何かあったのか?)

最近、(恋人の)南沢にあまり構ってあげられていないことは自分で自覚はしている。

まさか、そのことだろうか。

俺は緊張と不安を胸に南沢の後を追った。






「待ったか?」

三国がにこっと笑ってやっと来た。

「いや、大丈夫」

そう言うと三国は不安そうな顔をするもんだからくすっと笑ってしまった。

「な、何……笑って」

「だって、ふはは…お前 何それ、緊張してるわけ?」

「き、緊張してるさ……だって」

「別にこれからラブホ行くとかそんなんじゃねぇんだから落ち着けよ」

「ば、お前!こんな道端でラブホとか言うな…!」

三国は赤面していたが俺はにやにや笑う。

(久しぶりにこいつと絡んだな)

俺はただ本当に三国と一緒に帰りたかっただけだ。まぁ、本人は深読みしているみたいだが、

「三国、手」

「……は?」

「繋ぎたい」

そう言うと「だからこんな場所で……!」とまた赤面してきた。

「いいじゃん、別に」

「よくあるか……それこそ、内申に響くぞ」

「太一クンのイジワル」

手が駄目ならとばっと抱きつく。

「は、話…聞いてたか……?!」

「別に、良いんだよ」

内申なんかよりお前が欲しいんだから(絶対、口には出さないけど)。

「い 良いって……?」

「俺がこうしたいんだから、良いの」

ああ、三国のにおいがする。

俺……こいつのにおい、好きだな。

「み 南沢……」

観念したのか頭を撫でられる。

「なぁ、三国」

三国はまた優しく「何だ?」と笑った。

(ああ、好きだ その声……その顔)

「キスして」

それだけ告げると三国はすぐにキスをしてくれた。

「これで良いのか……?」

三国が安心したように息を吐いた。

「ああ、満足さ」

くすっと笑ってやると三国はまた頬を赤らめながらそっと俺の手を握ってきた。

「さ、三国……?」

「つ…繋ぎたかったんだろ……?」






















本当に嫌いになれない
(どんなに構ってもらえなくても)










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ある方に捧げようと思って書いていたのですが、途中からだんだん意味がわからなくなってしまったので……ぐぁあ……

最近、甘いのが書けないデス……





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