「南沢さん」 呼ばれたと思って振り向くと倉間がいきなり抱きついてきた。 「な……んだよ」 「先輩が可愛いくて仕方ないんスよ」 倉間は意地が悪そうに笑う。 たく、仕方ねぇな。 「……動きにくいから離せよ」 「いや、だ」 倉間はイヤイヤと言って首を振る。 「あのなぁ、」 「先輩に抱きつくのが俺の日課なんで」 まぁ、うん。 最近なんかよく抱きつかれるなぁとか思ってたけど気のせいではないらしい。 「せんぱぁーい」 ああ、なんかもう……なんだろ。 「倉間……マジで邪魔」 「邪魔とか言って嬉しいクセに」 「う、嬉しく……ねぇし」 「嘘、です」 倉間が不意に声のトーンを下げて呟く。 「……は?」 「歯は口の中でスよ、南沢さん」 くすっと笑う倉間をキッと睨む。 「うっせーな……とにかく離れろ」 「嫌です、」 「なんでだよ」 「だって、南沢さん 心臓ヤバい動いてますもん」 「な、なな」 「あ、またはやくなった」 ああああ、くそ……そりゃあ、はやくなるだろ!!俺だってお前に無関心じゃねぇんだよ!! 「南沢さん?」 倉間がにやりと笑う。 「もっと、もっと……はやくなっちゃうこと、しませんか?」 それ以上、何する気だよ (そんなことわかってるクセに) ---------- 倉間……南沢さん、 ああああ← |