「愛、したい」

愛したい。

南沢さんを愛したい。

でも、あの人は違う人を見てる。

奪いたい。

あなたを奪いたい。

見つめてるのが俺だったら、

だから、俺は南沢さんを歪んだ愛で愛すことで振り向かせるという幼稚な考えしか思いつかなかった。






「待てよ、……おい 倉間」

「なんでスか?」

「俺さ こんな潰れたジャムパン……いらねぇんだけど」

南沢さんの手にはさっき俺が愛情込めて踏みつけたジャムパンが握られている。

「いらないんスか?」

「……いや まぁ 潰れてるだけだし、食べてやるよ」

南沢さんが俺をパシるからいけないんでスよ。だって俺、我慢出来なかったんでスから。

「で?飲み物は」

「はい、」

南沢さんが大好きないちごミルク。

いちごミルクだなんて可愛いもんは俺は嫌いなんで、

「……ちょっと待て、なんでコーヒーなんだよ」

「いちごミルクなかっかたんで」

南沢さんは渋い顔をする。

(そうそう、その顔)

あなたのその顔が大好き。

ゾクゾクする。

「たく、つかえねぇな」

「すみません」

「ま、ありがと ついでに買ってきてくれて」

「いえ、」






「ドリンクの中にすっげー草が入ってんだけど」

みんながギョッとする。

「うわぁ、これは……」

三年の先輩や他の奴らも南沢さんに集る。

(沢山沢山、南沢さんの為にむしってきたんスよ)

南沢さんは気づいてんのかな。






「うわ、」

「どうしたんスか」

「いや……なんか…………」

「靴が濡れてんだけど」

「災難っスね」

すると南沢さんはキッと俺を睨む。

「お前さ、俺のこと嫌いだろ」

「は?」

いきなりの言葉に首を傾げる。

「何言ってるんスか」

「だって、お前だろ 草もこれも」

ああ、気づいてたんだ。

「なんでこんなこと………」

「愛してるからですよ」

真顔でそういうと南沢さんはいつものように歪んだ顔をした。

(好き、だ)

俺は南沢さんの綺麗な前髪を掴む。

「く、倉間……」

「歪んだ顔が、先輩の歪んだ顔が好きなんでス」






















そんなで見つめないで
(それでもゾクゾクする自分はやっぱりおかしいのだろうか)









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倉間の歪んだ愛が好き、なんです
倉南の甘いのも好きなんですが
歪んだ愛も好きなんです!←

草は、なかったかな……





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