(声が、する)

それは小さな声で聞き覚えのある声だった。

(誰だろ)

興味本位で声がする方へ近づく。

「あ、」

そこには幼なじみで恋人の拓人の姿。

「拓人ー!何して

「キャプテンが好きなんです!付き合ってください!!」

拓人しか見えなかった俺はいきなりの予想外の声に驚いた。いや、てか

(な 何だって、?)

「ま 松風、………き 霧野」

拓人は俺に気づき松風と俺をあわあわと交互に見る。

「じゃ じゃあ 返事待ってます」

ヤバいと思ったのだろうか、松風は逃げるようにその場を去った。

残された俺達は、

「き きり、ら 蘭丸 あの…」

「モテモテだね キャプテンは」

そう言って拓人に背を向ける。

(ああ…もう)

胸が痛い。






「霧野……」

「何?」

拓人が話しかけてくれば冷たく目を背ける。

拓人は泣きそうな顔で俺を見るけど、

(拓人なんか、知らない)

俺の胸はどんどん痛くなるばかり、

(拓人、)






そんな顔するくせに拓人は他人と笑ってる。

イライラする。

「……」

だから俺は、

遠くのグランドで拓人……と笑ってる松風を校舎の壁に寄りかかりながら睨む。

(なにあれ、)

「き 霧野!!……あの」

すると、拓人が俺に気づきかけよってきた。

「ごめん、」

それはどういう意味なのか、

俺は返事さえする気になれなくて目を背けた。

「……蘭丸、」

涙目の拓人は俺の両腕を掴む。

「あれは……断った…から」

あれと言うのは、松風の告白の返事たろうか。何故断ったのか、

「蘭丸、何か……お 怒って」

拓人は「だから、だから」と呟いている。

「断った……よ」

「何それ」

俺が怒ってたから断った?

「ふざけるな!!」

俺はイラついて拓人に砂を足でぶっかけた。拓人は咳き込む。

「俺が怒ってなかったらお前は松風と付き合ってたの?!」

恋人なのに、?

馬鹿なのか!

俺が怒ってる理由もわからないのか?

「ち 違う…!」

「じゃあ、何?!」

拓人はもう涙をボロボロ流している。

「ら ら 蘭丸が、ぁ」

「……何」

「すす 好き、だから」

「……!!」

はじめて、はじめて拓人から“好き”と言ってもらえた。

嬉しい、が

今の俺は止まらない

「俺がどんだけもやもやしてたか、拓人にはわからない……よ」

あれ、おかしいな

視界がぼやけてきた。

「ばか、たくと……」

俺は拓人を抱きしめる。

「ら、蘭丸……ごめん」

「謝るな……もう、いい…」

拓人を見るとにっこり笑う。

「俺は拓人が好きだから、」

「うん……」

頬を赤らめる拓人に自分もだんだん恥ずかしくなってきて顔が熱くなる。

「き、キス……していいか?」

拓人に問うとさらに真っ赤になる。

「………ら 蘭丸に、なら」

ああ、もう可愛いな……

「ありがとう」

目を瞑る拓人にそっと顔を近づける。






















が本当にきで、らない
(俺の全てを君にあげる)










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蘭拓です!

「拓人が天馬に告白されたところをみてしまった蘭丸が拓人にイジワル、嫉妬する話で甘オチ」とのリクでした!

こここんな感じで大丈夫ですか……?

なんだか不安です、

拓人の涙にはかなわない蘭丸って
いいなぁ←

素敵なリクエスト、ありがとうございました
またよろしくお願いします!




110604

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