お前の方が、


















「らんまるくんって、女の子みたいな顔してるんだね」

「ぼく女の子じゃないよ!」

「良いじゃない、すごく綺麗な顔だね」



幼い頃の俺と拓人の会話。
別にそれまで女顔なんて気にならなかったのに、その拓人の言葉一つでかなり気になり始めた。

だから女顔と桃色の髪は仕方無いとしても言葉使いや身なりに振る舞いだって男だと思われるために気をつけていた。

サッカーをやり出したのだって、ある意味そうだった。


――――
今も我らが雷門中学校サッカー部は練習中。
俺の幼なじみであり想い人であるサッカー部キャプテンはまわりの部員に指示を出しながらボールをキープしている。

みんな拓人からボール取れないんだ、何故か俺が誇らしくなる。

「おい!霧野!そっちに行ったぞ!」

「えっ!?あっ…」

拓人を眺めていたら此方に飛んできたボールに気づかなかった、即座に胸でボールをトラップしてなんとか受け止め、南沢先輩にパスを出す。

とっさの事だったのに、俺の判断力凄いわ…なんて思っていたら、

「き〜り〜の〜…」

超絶不機嫌な拓人が今にも化身を召喚しそうなオーラを放ち、近付いてきた。

「お前はやる気あるのか!?ぼーっとしてて、何をしているんだ!俺たちは今サッカーをやっているんだ、考えごとしながらピッチに立つな女顔!」

少し俺より背の低い彼が怒っても、正直余り怖くない。

だけど、

「女顔は余計だろ泣き虫!」

「だだだ誰が泣き虫だ!」

そんな言い合いをしていたから、確実に油断していた。

「キャプテン、霧野先輩ッ!」

松風の声にはっと上を見れば俺の顔あたりに向かってボールが跳んできていた。

さすがにこの距離じゃヘディングも出来ない、とぶつかる寸前で思った。

ガッ…

鈍い音。

あれ、俺痛くないよ。

じゃあ、と下を向けば、倒れている拓人。

「ッッ!?」

俺はしばらく静止していた。

だけどすぐに我に帰れば、打ち所が悪かったのだろう、意識を失っている拓人を抱きかかえて

「保健室連れて行ってきます!」

誰にともなくそう叫べば、俺は拓人を抱えたまま保健室に向かった。



―――――
「…ん」
は、と目を覚ます拓人。

「霧野…?」

「馬鹿野郎!」

拓人が目を覚ましてすぐに俺は拓人に向かって叫んだ。
拓人はびくりと肩を揺らす。

「…な」

「なにしてんだよ!あのボール俺に向かって飛んできたんだぞ…お前が当たる理由無かったんだからな!?」

拓人の肩を揺らして諭す。

「だって…」

「キャプテンだからか?キャプテンはなおさら自分の身体を大切にしなよ」

相手に物言わさないような雰囲気で拓人の髪を触る。

「…違うんだ」

「何が違うのさ」

「…お前の綺麗な顔にボールがぶつかるのが嫌で…それで、身体が勝手に…」

最後辺りは蚊の鳴くような声だったけど、
俺にはしっかり聞き取れた。

その時あの会話をまた思い出した。

そうだよ、お前のせいで俺、サッカーとか始めちゃったんだよ。

だけどお前が居たから俺はサッカー出来たんだよ。


「拓人」

呼びかけて上を向かせれば、ほら、また目に涙を溜めていて。

お前の涙は底なしなの?って。


「好きだよ、俺、お前が」

「…蘭丸」

「次からは俺がお前を守るからな」

「…ああ」

「…そんでさ、」

「…?」

俺はいつもより少し低い声で、




(ば、馬鹿じゃないのか…お前)(拓人、可愛い)










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「混沌カフェオレ。」のここうぇっと。さんから相互記念文としていただいた蘭拓です!な、なんという可愛いさ!

蘭丸の「好きだよ」にぐっときました!!
拓人も涙目になって本当に可愛いくて、
仕方ないです!

素敵な相互文ありがとうございました!!
これからも仲良くしてください!




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