「ひ、ぅ ふぅっ、く」

どこからだろう。泣き声がきこえる。

(誰が泣いてるんだろう、)

俺は泣き声がする方にゆっくり歩く。

グランドの砂はじゃりじゃりいうから慎重に、

さぁ、この壁の向こう側に

「大丈夫、絶対に」

いきなり聞き覚えのある声がきこえて驚いてその場にしゃがむ。

(ああ……びびっくりした、本当に…)

「で、も…だ、だめだよ……」

まだ泣いている。

誰なんだろうか、気になる。

「俺が絶対守るから」

(あ、この声)

すぐにわかった、風丸君だ。

だとしたら泣いているのは……

「な?緑川」

やっぱりそうだ。緑川だ。

俺はぴんっと耳をたてて二人の話に聴き入る。

「でも……いつもそう言って、嘘つくじゃん……ぅう」

「緑川は怖がりだなぁ、たく ほら」

今のところ、何の話をしているか全然わからない。

「本当に…守ってくれる?」

「もちろん」

その言葉を最後に、なんだかいきなり静かになる。

(……いなくなったのか)

俺はもういっそ普通に歩いて彼らに「何の話?」ときけばいいのだが、

(もし、もし二人が)

抱きついていたら…キスしていたら……どうする?

そんな二人を想像してしまう自分の想像力が恨めしい。

(あぁ、本当に……嫌だな)






「ありがとう、風丸!」

「だから、言っただろ?あいつそんなことで怒らないって」

先ほどの続きのような会話がきこえる。

(誰かに謝りたかったけど怒っちゃうか怖くて風丸君に相談……ってとこかな?)

「まぁ 緑川らしいよね」

しまった、口に出しちゃった。

「ん?何が?」

案の定、緑川は首を傾げる。

「ふ…ふふ」

風丸君はそんな俺と緑川をみてくすくす笑ってる。

ま まさか、風丸君……

(俺がきいてたの……知ってたな…)

「な なんでも、ないよ」

「えぇー?本当に?」

でも、本当に

「なんでもないよ」






















きみを守るのも傷つけるのも他の誰かで
(俺はこうして君を陰から見守るだけで)










**********

何がしたかったんだろう、自分は……

きっとこんな感じのヒロトが
書きたかったんだなぁ……

ついでに緑川が謝った相手は
染岡さんとか豪炎寺かなぁ……





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