「お前にばかり負担をかけてすまないな」 ある日、三国先輩に呼ばれて行ってみればそう言われた。 「本当は俺や他の三年がやるべきなのに……いつも本当にお前は頑張ってくれて……」 先輩、俺はそんなこと気にしてません。って言うと嘘になる。 「いつも、ありがとな」 そう言う先輩は俺の頭を撫でた。 「当然です、先輩達は気にしなくていいですよ」 ぴたっと頭を撫でるのを止めた先輩は首を傾げた。 「当然、か……たく この意地っ張り」 「い 意地っ張り……?」 「たまには俺達に甘えてくれたっていいんだぞ?」 「……?」 今度は俺が首を傾げる。 「お前がキャプテンになった時、初日から泣きついてくるかと思って待ってたんだぞ 」 「え……俺が、ですか?」 「なのに、こそこそ いつも部室の隅で泣いたりして……本当にお前は、」 先輩はまだぶつぶつ何か言っている。 (っていうか、み 見られて……) 「神童は本当に素直じゃないな」 くすっと笑う先輩はまた俺の頭をぽんぽんと叩いた。 (だって、だって……) 名門の雷門サッカー部のキャプテンが弱音なんか吐いてはいけない。 三国先輩は俺にキャプテンを任せてくれた。 それに他の先輩方も、 なのに、 「俺ばかり甘えてなんていられません」 「ふぅ、そうか ま 神童らしいよ」 先輩はまたくすくす笑う。 「何か困ったりしたら俺にきいてくれ、相談ぐらいはきいてやれるし」 「先輩、に迷惑かけ 「甘えてくれ 神童」 びくっとする。 先輩は俺にそう言った。 「甘えてくれなきゃ 嫌なんだ」 「せ 先輩……?」 そういうと先輩は俺に背を向けて走って行ってしまった。 『甘えてくれ 神童』 俺は甘え方を知らないだけなのかもしれない。 (甘えて、いいのかな) 沢山、甘えていいのか。 ならいっそ……甘えてしまおうか。 甘えてしまえば意外と素直に (それはほんの少しの勇気だけが必要で) ********** キャプテン任せちゃってごめん的な 話がかきたかっただけ |