「ねーねー これほしい!」

「ひろとがかうならおれもほしい!」

「はいはい、本当に二人は仲良しね」

あの頃はヒロトと全部が同じじゃないと不安だった。

多分、ヒロトが大好きだったんだと思う。

だから瞳子姉さんから何か言われたってなんとも思わなかった。

今 思えば、服も食べ物もおもちゃも誕生日プレゼントも全部ヒロトが選べば同じものにした。

「りゅうじはなにたべる?」

「ひろととおなじがいい」

ヒロトからきかれたらこうやって言えばヒロトはだいたいにこっと笑って同じものを頼んだ。

でも そんなの小さい時の話だ。

「緑川 本当に俺が好きだったんだね」

ヒロトが今の話して頬を赤らめてそう言った。

「今はもう真似しないの?」

「す するわけないじゃん!!」

ヒロトが少し残念そうに「そっか」って言った。俺はそんなヒロトを見ながら首を傾げる。

「今も真似してくれたらいいのに」

「た 例えば何を?」

「髪型とか後は技とかね!」

そんなことしたら、

「双子みたいじゃん!」

「いいじゃん!双子!!」

ヒロトはにこにこしている。

「……緑川 今は真似してくれないけど」

「うん……」

「俺のこと好き?」

ヒロトは俺の頬に手を添えた。

「……当たり前じゃん」

俺はずっとずっとヒロトが好きだったんだから。

「俺も好きだよ」




















まねっこしようよ
(真似しなくたって気持ちは同じ)





















昔、絵本が大好きだった時があった。

とにかく気に入った絵本をいつもお気に入りのリュックにいれて持ち歩いてた。

「明王は本当にその話が好きなのね」

母さんは本当ににこにこしながら俺の頭を撫でてたっけ。

「うん、だいすきだぜ このはなし!」

好きだった。本当に。

あの頃が懐かしい。

「不動 この話 知ってる?」

だから佐久間からその絵本を見せられた時は驚いて動けなかった。

「不動……?」

「それ いいよな」

「俺もそう思って買ってきたんだ」

「は お前 いい歳して絵本かよ」

「ま まぁたまにはいいだろ」

とか言って佐久間は俺の横に座って絵本をめくりはじめた。

「この話も絵もさ なんかどっかにありそうなんだよな」

「わかるわかる」

俺は佐久間に同意する。

「行けそうな気するんだよ」

「佐久間 行きてぇの?」

「こんな幸せな世界があったら普通は行きたいって思うだろ?」

確かにそうだ。

俺だって行きたい。

でも、母さんが言ってた。

「その世界にお母さんやお父さんはいるの?明王だけ行ったって楽しい?」

「……たのしくない、かも」

「みんながいない世界になんか明王はいけるかしら」

「いやだ……」

「なら この世界を絵本みたいに幸せにしていけばいいのよ ね?明王」

「……うん!」

でも、結局 俺は……

「幸せに、なれなかった」

「……不動?」

なら一人で絵本の世界に行ってしまえば良かった。

「みんながいない絵本の世界に佐久間はいけんの?」

「……ふ バカだな お前」

「は?」

佐久間は俺の手を握った。

「お前も一緒にいくんだろ?」

「……!!」

「お前だけじゃなくてさ、鬼道も源田も」

こいつは母さんの考えと違う。

「みんなも幸せになればいいじゃん」

こいつは……

「お前は幸せになるんだよ」

佐久間が俺にそっとキスをした。

幸せのキスを、






















えほんのせかい
(みんなが幸せになれますように)





















僕の友達はいつも僕に何でも自慢してきた。女の子だったんだけど。

「しろうくん みてみて!これきのうままにかってもらったの!!」

後から知ったんだけどその子は僕のことが大好きだったらしい。アツヤからきいた。

「いいな ぼくもほしいな」

僕はそんなくまさんのぬいぐるみなんか本当は欲しくなんかなかったけど、欲しいって言わなきゃその子が可哀想だったから。

「だからしろうはだめなんだよ!!」

アツヤにも怒られたっけ。

「それでその子 お前に告白したのか?」

「ううん、多分 別に好きな子ができちゃったんじゃないかな」

俺の友達はなんでも一番が好きだった。

「いちろーた!!みろよ おれいちばん!!」

よく運動会のかけっこで一等賞だった。

「すごいな!」

でも本当は俺の方が足は速かった。

彼をきずつけたくなくて抜かさないようにしてた。

「それで ずっと譲ってたの?!一番を?」

「ああ、」

「お人好しだなぁ」

「でも やっぱりその関係を崩したくないからな」

「まぁ わからなくはないかな」

僕の友達はかっこいい。

髪は長いのにかっこいい。

僕を一番に心配してくれる。

そういうことなら一番だ。

「なんだよそれ…」

俺の友達は可愛い。

女の子にモテたりすることを
自慢したりしてくるけど。

やっぱり 自慢してくる。

「ひどいなぁ…」

「嘘じゃないだろ」

僕の

俺の

友達は

いや、恋人は

「なんでも後回しにしようとしたり」

「ちょっと心がガラスだったりね」

「自分の気持ちを押し殺して」

「それで意地っ張り」

でも それでも

「「優しい!!」」






















ぼくのともだち
(だから好き)




















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基緑 佐久不 風吹

なんか本当にこどもの日関係なさそう…

でも 楽しんで頂けたら嬉しいです






thank title ひよこ屋





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