携帯の着信音が部屋に響く。

(誰だろう……)

携帯を耳にあてて「はい、デモーニオです」と言うと相手は無言だった。

(……悪戯か?)

切ろうとしたその瞬間。

『ひ…久しぶりだな』

「え…?」

何だかきいたことのある懐かしい声がきこえてきた。

「き キドウ?」

『ああ…そうだ』

俺はびっくりして携帯を持つ手が震える。いや……緊張と言った方がいいのかな。

「久しぶり、だね!どうか したの?」

『いや…今日 フィディオにお前の番号を教えてもらったからかけてみたんだ』

「そうなんだ、繋がったね」

『ああ…繋がったな』

俺は何となく胸が幸せで満たされていく感覚がした。

「キドウに…会いたいな」

ふと呟いてしまった言葉に微笑む。

『俺も、会いたい』

胸を押さえる。

あれ…幸せなんだよ。

幸せなのに。

床に涙が落ちていく。

「き キド…ぅ…」

『会いたい』

(そんなの…俺も同じだ)












いたいよ
(また きっと会えるよね)






*****

デモ鬼のつもりですよ…




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テーマ「人外ファンタジー」
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