それぞれ攻めの方が受けの方を押し倒してみたよ!
落書きです


そのいち、デイサソ

 オイラの下でオイラを見上げている彼はきれいだった。狭まった、長めの睫毛の間からのぞく瞳は、ガラス玉のようにきんと澄んでいた。元来色味のない頬も、赤い髪が映りこんでいるせいか血色よい少年のそれのようで、ていねいになめした革のように限りなくなめらかだった。眉根はとてもひそやかに示されていて、表情とおぼしきものが視えなかった。オイラはそのこめかみに指を入れた。頭の形に沿って手をくしゃりとすぼめた。彼の口から静かに漏れる尖った罵倒のせりふすら、そのへんにいる人間が漏らすそれよりも、余程、余っ程きれいだった。



そのに、サソデイ

 俺がこいつの背を床に叩きつけたのは、つい先程のことだ。痛そうに顔をゆがめ、悔しそうにうめき声を漏らし、何時もの青く光るつり目で俺を睨んでくるのだった。金の髪は乱雑にばらけ、その一本一本が床の塵のなかに沈み紛れていった(きっとろくな手入れはされていない、長髪のくせに)。鼻の頭は日焼けて皮がむけていた。頬もすさんだ感触をしていた。俺はこいつの前髪を掴み、ほかの髪の中に投げ入れた。青い瞳の中に赤い炎が見え隠れしていた。俺はこいつの、こういうところが好きなのだろうと思った。



そのさん、三サソ

 まだ成人すらしていないこの子をこうすることに、背徳感がないわけではなかった。この子は里の誰よりも才能高く、誰よりも生意気で、誰よりも美しかった。私を見上げるその視線は青いものではなく、それはこの子の得てきた数々の経験を物語っていた。自分が特別な存在であることを知っている、見透かした大人の目そのものであった。私は悔しかった。絡めとられたのはこの子ではない。紛れもなく、私のほうなのだった。にやりと上げてみせられたこの子の口角を、指でこじ開け、口元を圧し当て、私よりも卓越しているかのような余裕を削ぎ、ぬるま湯で溺れる者のように喘がせてみたかった。





うちのサソリさんは可愛げがないですね…
そういえば三代目目線は初めて書きました


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テーマ「人外ファンタジー」
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