ひまわり
ひまわりのように笑う子だったな。
イタチは任務の途中に見つけたひまわり畑を見て、そう呟いた。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「イタチおにぃちゃん!」
トコトコトコと小さな体で走ってくる女の子。
「どうした?玲音」
そう言って、声がする方へ向き直る。
「あのね、あのね、これ、アカデミーで作ったの!」
玲音はイタチの手のひらへハンカチの包みを渡す。
「クッキーか。くれるのか?」
「うん!」
玲音が頷くのを確認し、イタチは包みからクッキーを取り出す。
「食べて食べて!!」
パクッ
キラキラと目を輝かせながら玲音はイタチを見る。
「どう?」
「おいしいよ。玲音はきっといいお嫁さんになるね。」
そう言ってイタチは玲音の頭をなでる。
「じゃあ、大きくなったらイタチおにぃちゃんのお嫁さんになるっ!!」
ニパッ
無邪気な笑顔で玲音は言う。
「あぁ、待ってるよ。」
イタチも玲音に笑顔でそう返した。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「その子は今、どうしてるんです?」
隣にいた鬼鮫はイタチにたずねた。
「もちろん殺したよ。彼女もまた、うちは一族だったから。」
「そうですか……」
―――イタチは一輪のひまわりにそっとハンカチを結んだ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
あとがき
最後のハンカチはクッキーの包み紙という無理矢理設定。
[ 40/41 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]