勘違い
(ん?玲音のやつ…)
ふらりと街を歩いていたら、玲音が若い男と歩いていた。
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「沢田さぁーん!」
玲音は沢田の事務所の扉を開ける。
「ちょっと遅くなっちゃいました…ってアレ?」
いつもなら笑顔で迎えてくれる沢田の姿が見当たらない。
「あ、玲音ちゃん。」
きょろきょろと辺りを見回していると事務所の人が出てきた。
「こんにちは。あの、沢田さんは…?」
「あぁ、今日は打ちに行ったよ。」
そう言って牌を倒す仕草をする。
「また麻雀ですか?今日は遊びに来るって言ったのにぃー。」
不貞腐れながらおじぎをし、事務所を出る。
「そういえばひろくんも今日はこの後打ちに行くって言って帰ったな…」
同じところにいるかもしれないし、とひろが言っていた雀荘へ向かった。
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「アレ?沢田さんじゃないですか。」
ひろが雀荘に入るとそこには沢田がいた。
「よぉ、ひろ。最近調子はどうだ?」
「まぁまぁです。」
話しながら沢田のいる卓へ移動する。
「でも驚きました。てっきり今日は玲音と一緒だと思っていたので…。」
「あぁ、まぁな。」
返事をしながら牌を混ぜる。
「急いで帰ったので、沢田さんのところに行ったのかと…」
「アイツもまだ若いんだ。男の一人や二人、いるんじゃねぇか?」
ハハッと笑いながら牌を積む。
「まさかっ!だって今日も…」
ひろが沢田の言葉に否定の言葉を発する。
「おら、始めるぞ。」
が、その言葉は沢田に遮られた。
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「沢田さん、今日なんか荒れてませんか?」
いつもと違う打ち回しに疑問を抱き、ひろは問う。
「そうか?…情けねぇな。」
沢田は苦笑しながら頭をかく。
「何かあったん…」
ですか?そう聞こうとしたところで名を呼ばれる。
「ひろくーん?」
「玲音っ!」
「あ、いたいた!」
驚いてひろが玲音の名を呼ぶと、玲音はひろの元へ駆けて来た。
「あー!やっぱり沢田さんも一緒だった!!」
「おぅ。」
「今日は遊びに行きますねって言ってたのにっ!!」
頬を膨らませながら玲音は沢田へ近寄る。
「あぁ、すまねぇ。朝一緒にいた兄ちゃんと遊んでんのかと思ってよ。」
玲音から目を逸らしたまま沢田は言う。
「え?」
玲音はなんの話か分からず大きな目を見開いて首を傾げる。
「無理しておっさんと付き合う必要はねぇんだぜ。」
言い終えると沢田はくしゃっと悲しそうな笑顔を玲音に向ける。
「何の話ですか??」
玲音は困ったように焦り、沢田に聞き返す。
「なに、隠すこたねぇさ。朝街をふらついてたらお前さんが若い男と歩いてんのを見ちまってよ。」
尚も寂しそうな笑顔を見せる沢田に困惑しながら玲音は今朝のことを思い出してみる。
「……あっ!!」
暫く首を傾げていた玲音が突然大きな声をあげる。
「違いますよ、沢田さん!!アレ、ひろくんですっ!!」
「はぁ?」
玲音の言葉に驚き、沢田はポカンと口を広げる。
「あの、チャラチャラした格好の人のことですよね??」
玲音は沢田の前にしゃがみこみ、顔を覗きながら問う。
「あ、あぁ…」
その勢いに圧倒されながら沢田は答える。
「私、最近何度もクラスの子に合コンに誘われちゃって。その度に彼氏がいるからって言っても会わせなきゃ信じないって強引に連れて行かれそうになったんです。でも沢田さんにわざわざそんな事で来てもらうなんて悪いし…と思ってひろくんにお願いしたんです。」
沢田の手を握りながら一気に話す。
「それで、ひろくんもそのままじゃあ学校で噂になっちゃうからって変装してもらったんです。ね?ひろくん??」
そう言ってひろの方を向く。
「え?あ、うん。まさかあんな格好させられるとは思ってなかったけどね…。」
突然話を振られ驚くがすぐに答え、苦笑する。
「だから、その…」
もう一度沢田に向き直り、俯く。
「わ…私が好きなのは、沢田さんだけですっ!!///」
真っ赤な顔を上げ、沢田を見つめる。
「ま、まぁこんなおっさん友達には紹介出来ねぇよな…」
沢田は話を逸らすように言う。
が。
「違いますっ!!沢田さんが素敵過ぎるからみんなには見せたくなかっただけですっ…」
「おい、玲音、落ち着け…」
「私、沢田さんとお付き合いしてること隠したいだなんて思ったことありませんっ…」
ぶちゅっ
「「なっ……///」」
雀荘中の視線が二人に集まる。
「えへへ…沢田さん、大好きです。」
「…馬鹿っ!!場をわきまえろっ…///」
怒りながらも沢田は玲音を抱き締めるのだった。
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あとがき
な ん だ こ れ ←
勘違いネタが書きたかったんですがね、まさか初沢田さんがこんなことになるとはっ…!!
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[mokuji]
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