お迎え

『今日居残りで遅くなります

銀二の元に一通のメールが届いた。

「なぁ、森田。玲音が今日は遅くなるってよ。」

「そうなんですか?外、どんどん吹雪いてきてますけど…」

「そうだな…」

二人で窓を見つめる。

「そうだ!迎えに行ってあげましょうか。」

「あぁ、たまにはいいかもな。」

森田の提案に銀二は賛成し、二人は外出の準備をした。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「うわぁ、外凄い雪だなぁ…」

「そうだね…帰るの面倒だわ…」

補習の最中玲音がぼやけば友人のほげほげもそれに答える。

ブブブ…

「あ、玲音携帯鳴ってる。」

「ホントだ。ありがと…」

誰からだろう?と先生から隠れ携帯を開く。

「あ、森田さんからだ。」

「誰?森田さんって…」

「えと…手汗男?」

「はぁ?」

ほげほげの質問にテキトーに答えながらメールを見る。

『今日外凄い雪だから銀さんと迎えに行くね!』

「なっ///」

予想もしていなかった内容に驚き、銀さんが来てくれると考えるだけで赤面してしまう。

「どうしたの?玲音…」

「え?いや、なんでもないよっ!!」

にやけてしまう口元を押さえながら答える。

「いや、完全に顔にやけてるから!森田さんって彼氏か??」

ほげほげもにやけながら聞いてくる。

「え?いや、森田さんは違うからっ!!そうじゃなくて、今日お迎え来て貰えることになったの…えへへ」

ピースをしながらほげほげに言う。

「いいなぁ…羨ましい…」

はぁ、と外を見ながらほげほげはため息をつく。

「そうだ、ほげほげも一緒に乗っていく?」

確か同じ方向だったよね?と誘ってみる。

「いいの?是非お願いしたいっ!!」

外歩くの面倒だったんだよねぇーとほげほげは玲音の誘いを受ける。

「じゃあ決まりねっ!一応聞いてみるからちょっと待ってて。」

玲音は森田へとメールをする。

『すっごく嬉しい!あと、あの…友達も一人一緒にいいかな?』

するとすぐに返信が返ってきた。

『銀さんがかわいいお嬢さんなら何人でもOKだって!笑』

ムムム…

『銀さんのばかぁーっ!!

そう返しながらもワクワクしながら補習が終わるのを待った。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

『校門の前で待ってるね。』

補習が終わり、携帯を見るとすでに到着メールが着ていた。

「ほげほげ、準備できた?もう着いてるって!」

自らも慌てて準備をしながら問いかける。

「うん!もう出れるよっ!!」

ほげほげはそう答えながら窓の外をチラッと見る。

(どんな車だろう…ん?なんか高そうな車が止まってるけど、まさかね)

そもそも誰が迎えに来るのかも聞いていないので少し不安になってくる。

「ほげほげ、行くよー!!」

「う、うん。ところで誰が迎えに来てくれたの?」

「うふふ…私の大切な人。」

なんだ、やっぱり彼氏か。そう安心して玲音の後を付いて行った。

「うぅ…寒い…」

「寒いを通り越して痛いよね…」

体を小さくしながら二人で歩いていると校門に立っている一人の男が目に入る。

「森田さんっ!」

玲音は男を森田と呼ぶとそのまま駆け寄っていった。

「お疲れ様。」

「わざわざ降りて待っててくれたんですか??」

森田に積もった雪をほろいながら言う。

「わからなかったら困るからね。」

ニコニコと優しい笑顔で森田は言う。

「ごめんなさい…ありがとうございます。」

申し訳なさそうに森田に頭を下げると森田さんは気にしないで、と笑った。

「ところでお友達は?」

そこまで話し、ほげほげがいないことに気付く。

「え?あれ??」

さっきまで一緒にいたんだけどなぁーと後ろを振り返る。

「ほげほげー!こっちだよー!!」

随分離れたところにほげほげがいたため大きく手を振って呼んでみる。

「う、うん…」

おどおどとしながらほげほげは玲音の元へ行く。

「どうしたの?」

「い、いや別に…」

(どう見ても左ハンドルの高そうな車なんですけどっ?!しかも森田さんって人のスーツも妙に派手だしっ?!)

などとほげほげがとても口には出せないようなことを考えていると運転席の窓が開いた。

「おい、早く乗りな。」

(ホ ン モ ノ だ )

「わ!銀さん、ごめんなさい。ほらほげほげ、乗って乗って。」

「う、うん。あ、あの、よろしくお願いします!」

中に乗っていたド派手なスーツを着たナイスミドルを見てほげほげは震えだした。

「ね、ねぇ玲音…」

「ん?」

「さっき森田さんは彼氏じゃないって言ったよね。」

「うん。言ったよ?」

「大切な人が迎えに来てくれる、とも言ってたよね。」

「うん、言ったよ?それが??」

「って事はまさか…」

後部座席でヒソヒソと話していると玲音が頬を赤らめ、ほげほげの顔は青ざめた。

「えへへ、銀さんはね、私の大切な人なの///」

「ぶはっ!!」

「おい、大丈夫か?嬢ちゃんよ。」

「は、はひっ!!」

友人の命の危険を感じるほげほげだった。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

(で、森田さんはなんなの?)

(んーだから、手汗男)

(は?)

(森田さーん、手ぇ見せて?)

(ん?はいっ)

スッ

(ほら見て、手汗)

(わ…ホントだ。ってそうじゃなくて)

(どうしたの?ニコッ)

(い、いえ///)

自分の命も危ないかもしれない;

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

あとがき
えっと…銀さんは私のだから森田は友達にあげるっていう話?←

なんとなく普通に銀さん彼氏だったら周りびっくりするよね、って話しを書きたかったんですがズレちゃいましたね;

読んでくださり、ありがとうございましたっ!

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