テスト勉強

「ねぇ、みんなでクリスマスパーティーしない?」

クラスのひとりが言い出した。

「行きたーい!」

「賛成ー!!」

ほぼ全員が賛同し、がやがやと騒がしくなる。

もちろん私も行きたいのだが…。

「お前らその前に期末テストで赤点取ったら補習でそんなヒマないからなー。」

担任の一言が突き刺さった。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「あぁー行きたいよぉークリスマスパーティー!」

うなだれながら叫んでみる。

「え?玲音ちゃん行かないの?」

すかさず親友の美心ちゃんが言葉を返してくれる。

「行かないんじゃなくて、行けないんだよぉー!!」

言いながら頭の隣で指をくるくる回し、パッと開く。

「あ、テスト?そんなの今から頑張ればいいじゃん!玲音ちゃんがいないと美心も寂しいゾッ!」

美心ちゃんは素敵なウィンクをしてくれたが、私一人じゃとても今から間に合う気がしない。

「今からじゃ無理だよぉ…物凄い天才が教えてくれるとかならまだしも…」

はぁ、と深いため息をつく。

「あ、じゃあ標くんに教えてもらったら??」

目を輝かせながら美心ちゃんは言う。

「え、確かに標くんは頭良いけど…」

ちょっと緊張して勉強にならないかも…。

「いいじゃん!愛のパワーでガ・ン・バ・レv」

うっ…美心ちゃん、私が標くんのこと気になってるの知ってて言ってるよ…。

「じゃあ美心が言ってきてあげるっ!」

「あ、ちょっと…」

私の返事も聞かず、美心ちゃんは標くんの元へ行ってしまう。

「あのね、標くん……」

美心ちゃんってホント行動力凄いよなぁ…とその姿を見て関心していると、すぐに戻ってきた。

「OKだって!恋も勉強も応援してるゾッ!!」

そう言って標くんのいる方へ押される。

「わっ!」

その反動でバランスを崩しながらも、標くんの元へ行く。

「えっと…よ、よろしく!」

ドキドキしながら頭を下げる。

「うん…あと3日しかないけど頑張ろう…」

そう言われ、頭を上げると標くんはニコッと笑ってくれた。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「分からないとこあったら言って…」

一緒に残ってくれた標くんが言う。

「う、うん!何処が分からないのかも分かんないんだけどねっ!!」

アハハ、とアホさ加減全開で私が言うと、

「じゃあテスト範囲全般に見直そうか…僕も復習したいし…」

と標くんは言ってくれた。

「ここ、絶対出るから覚えておいて…」

何色かに分けてマーカーが引かれている教科書に、要点をキレイにまとめたノート。

その全てに感動しながら、私は標くんに教えてもらう。

(頭良いなぁって思ってたけど、こんなに努力してたんだ…)

新たな発見に胸がときめきだし、何も頭に入ってこなくなる。

(うわぁ、頭良くて可愛くて努力家で…標くん最高じゃん!!)

「玲音ちゃん、顔赤いけど大丈夫?」

「えっ?あ、うん!大丈夫!!」

「寒いから…風邪引かないようにね…」

(しかも優しいっ///)

「うん、ありがとう///」

あ、でも確かに寒気もするかも?

「じゃあ、続けるよ…」

「うん!お願い。」

気のせいだろうと寒気をほっとき勉強を続けた。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして訪れるテスト当日。

「はーい、教科書全部しまえーテスト配るぞー」

(うぅ…標くんに教えてもらった手前失敗出来ないよぉ…)

ドキドキしながら問題用紙を待つ。

(わ、本当に標くんに言われたとこばっかり出てる…よしっ!)

配られたテストの問題を見てすぐに心の中でガッツポーズをとる。

(わかる、わかるぞぉぉぉ!!)

今までにない位しっかり解けている自分に興奮しながらテストを終えた。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「じゃあテスト返すぞー」

冬休み前日、テストが返却される。

「玲音ちゃんどうだった?」

「けっこう出来たと思うんだけどな…」

ドキドキしながら自分のテストが戻ってくるのを待つ。

「次、柳ー」

「はいっ!美心ちゃん、いってくる!!」

気合を入れて先生の元へ行く。

「柳、お前今回頑張ったな!」

「へ?」

「ほれ」

そう言われ、渡されたテストを見る。

「う、うっそ!やった!!初めてだよこんな高得点!!」

そこには見たことも無い『89点』の文字。

「あと1点で90点台だったのになぁーおしかったなぁー」

「いや先生、80点越えで凄くないですか?!」

「いや、すげぇよ。よく頑張った!パーティー楽しんで来い(笑)」

「はいっ!!」

私は嬉しくなり標くんの元へ向かう。

「標くんっ!!」

「…?」

「ありがとう!私こんな点数初めてっ!!」

満面の笑みでお礼を言う。

「それは良かった…」

ニコッと笑ってくれた標くんを見て嬉しくなる。

「ところで標くんは…」

何点だったんだろうとテストを覗いてみる。

「うわっ!」

穏やかな気持ちは一瞬にして凍りつく。

「満点…なんだね…」

まさかの満点だった。流石私にこんな点数を取らせるだけのことはある…と感心してしまった。

「じゃあ私、席に戻るねっ!!」

ホントありがとう、ともう一度お礼を言い、席に戻った。

「見てみて美心ちゃん!めっちゃいい点数取れたっ!!」

「良かったね!ところで玲音ちゃん、顔が赤いけど大丈夫?」

「ほぇ?」

そういえばさっきテストを受け取って大声で叫んでから頭がクラクラするような…。

「もしかして、熱あるんじゃない??」

そう言って美心ちゃんは私のおでこを触る。

「わっ!あっついよ!保健室行ったら??」

「え、まさ…か…」

クラッ

言われた途端、私は意識を手放した。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「…ちゃん、玲音ちゃん。」

名前を呼ばれ、目が覚める。

あれ?私……

「ん…な、に…?」

よくわからないまま返事をする。

「目、覚めた?大丈夫??」

目を開くとそこには美心ちゃんがいた。

「あ、美心ちゃん…ここは?」

「保健室だよ!玲音ちゃんが熱で倒れたから運ばれてきたんだゾ。」

「そっか!うわぁー迷惑かけてごめんねぇ…」

外を見るとカバンを持った人たちが見えたので、今は放課後らしい事に気付く。

「あ、クリスマスパーティー!!」

そういえば今日の放課後だったよな、と私はシュンとする。

「残念だったね、玲音ちゃん…」

「あ、美心ちゃんも早く行かないと遅れちゃうんじゃない?!」

私のせいで美心ちゃんまでパーティーに行けなくなっちゃう!と焦りだす。

「でも、玲音ちゃんが…」

「私は大丈夫だから!!」

「そう?」

「うん!だって今日は…カイジくんも来るんでしょ?」

ニヤニヤしながら私が言うと、

「キャッ!別に美心とカイジくんはそんなんじゃないって!!」

バニッ

美心ちゃんは照れながら私の背中を叩いた。

「ゴフッ…と、とりあえず楽しんできてね。いってらっしゃい!」

「ありがとう、玲音ちゃん。それじゃあ美心行ってくる!!」

そう言って美心ちゃんは保健室のドアを開ける。

ガラッ

「あ、忘れてた!特別ゲスト呼んでおいたからねっ!!」

「えっ?」

「頑張るんだゾっ☆」

それだけ言い残し美心ちゃんは保健室から出て行った。

(特別ゲストってなんだろう…?)

ボーっとする頭で考えているとすぐにそのゲストは訪れた。

コンコンッ

「はい?どうぞ…」

ガラッ

「…っ!」

現れた人物を見て私の熱は一気に上がる。

「大丈夫?玲音ちゃん…」

「し、し、し、標くんっ?!」

まさかの事態に軽くパニックを起こす。

「無理に勉強させちゃったかな、って思って…」

どうやら標くんは責任を感じて見に来てくれたらしい。

「そんなことないよっ!!標くんのおかげで凄い良い点数取れたしっ!」

あたふたとしながら私は返す。

「そう…?」

それでも心配そうに標くんは私の顔を見つめる。

(ちょ…そんなことされる方がヤバイよぉ///)

「あ、そんなことより標くんはパーティー行かなくて良いの??」

話を逸らそうと別の話題を振ってみる。

「うん…だって」

「だって?」

「玲音ちゃんの方が心配だから…」

ボフンッ

あぁ神様。パーティーより素敵なこの時間をありがとうございます…///

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

(玲音ちゃん大丈夫…?また顔が赤くなってるよ…)

おでこに手を当てる。

(にゃっ!!///)

(やっぱりまた熱くなってる…)

((標くんといてドキドキしてるからだよぉー!!///))

(……?)

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

あとがき
気を抜いた瞬間熱出ることってありますよねっ!←

うぅ…思ったより長くなってしまいました…。

無駄に美心とかカイジとかいるしねっ!他に女性キャラが…あ、美緒と沙織としづかがいるか。。。

と、とにかく、玲音様、ここまで読んで下さってありがとうございましたっ!!

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