Because of lonesomeness 2
「んっ…あ…」
溺れる事はひどく簡単で。
「…っんさん」
最初は掠れて聞こえなかった声も。
「ぎ…んさんっ…」
無意識のうちに大きくなっていって。
(アイツの代わりでもかまわねぇけど、よ)
チクリと刺さる胸の痛みに、気付かないフリをした。
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そんなある日。
「あっ…ん…もぅ…」
いつも通りの情事の最中。
タンッタンッタンッ
突然聞こえてくる足音。
そして。
ガチャッ
「あっ…」
「銀二…」
開いた扉の先に銀二が立っていた。
「……」
状況を把握しようと銀二は二人を見つめる。
「う…ぁ…」
みるみるうちに表情が青ざめていく玲音。
スッ バサッ
そんな玲音の顔に赤木は布団をかぶせる。
「…コレはどういうことだ?赤木。」
玲音の顔が隠れたため、銀二は顔の見えている赤木に問う。
「どうって…見ての通りじゃねぇか?」
クククッと赤木はいつもの口調で答える。
ダンッ
「冗談ですまねぇことぐらいお前だってわかってんだろっ!!」
壁を殴り、怒りを剥き出しにした銀二が叫ぶ。
ビクッ
銀二の声に驚き、玲音は震えだす。
「おい銀二、向こうで…」
「悪いが今のオレにそんな余裕はない。」
玲音の身を案じた赤木に銀二は言い放つ。
「あぁそうかい。」
着衣の乱れを直しつつ、赤木は玲音から離れ、ベッドに腰掛ける。
カチッ
タバコに火を点け、ふぅーっと一息つく。
「なぁ、銀二。」
「あぁっ?」
ゆっくり語りだす赤木に、焦りを隠せない銀二。
「今回のヤマはそんなに大変だったのか?」
赤木は突然仕事の話を振る。
「そんな事、今は関係…」
「あるんだよ。」
銀二の言葉を遮り、赤木が銀二を睨む。
「お前、どれだけコイツをほったらかしてた?」
「なんで連絡すら取らなかった?」
「コイツの事、少しでも頭によぎらなかったのかよっ?!」
今度は赤木が銀二に怒りをぶつける。
スッ
「赤木さん…もぅ…」
やめて、と布団から顔を出し、玲音は赤木の腕を掴む。
「コイツは…玲音は毎日泣いてたぜ。」
赤木は掴まれた手をほどき、玲音の頭を撫でる。
ボロッ
つられて玲音は泣き出した。
「銀二が帰ってこない、連絡も取れない、自分は捨てられたんじゃないか、辛い、寂しい…」
「もう忘れてしまいたい」
赤木が息もつかずに言うのを聞き、銀二は顔を歪める。
「俺を責めるのはかまわない。だがな」
そう言って立ち上がり、赤木は銀二の胸ぐらを掴む。
「お前はコイツを責められるのか?コイツはずっと俺の事を『銀さん』って呼んでたんだぞ、あぁ?!」
銀二の歪んでいた顔は驚きへと変わり、大きな目で赤木を見つめる。
「くっ…」
苦痛な声を絞り出し、銀二は赤木の手を掴み、自分から離す。
「すまない…」
そう言って俯く銀二。
「二人には申し訳ないことをした…」
銀二は謝罪の言葉を繰り返す。
「俺が悪かった…だがな」
言って銀二は顔を上げる。
「決して理由もなく連絡しなかったわけじゃねぇ。今回のヤマはオレでもきつかったんだ。お前を守りきれる自信がなかった…」
恥ずかしいがな、と悲しげな笑顔を浮かべる。
「銀さん…」
この人がどんな仕事をしているかわかっていたはずなのに。
この人に愛されている自信がなくて、確証もなくて、この人を信用していなかったのは私。
玲音も悲しげに銀二を見つめ返す。
「不安な思いをさせてすまねぇ…だからよ、玲音。」
タンッタンッタンッ
言いながら銀二は玲音の元へ近づく。
「結婚、してくれねぇか。」
そう言ってポケットから小さな箱を取り出す。
「オレもずっとお前のことを考えてた。オレだって寂しかったんだぜ?」
箱を開け、指輪を取り出す。
「だから、確証が欲しくなった。俺たちが愛し合ってるっていう、な。」
そして玲音の左手を掴む。
「えっ?えっ??」
驚きのあまり玲音はパニックになる。
スッ
そんな玲音に銀二は指輪をはめる。
「嫌か?」
切なげな表情で銀二は玲音を見つめる。
「嫌じゃないっ!嫌じゃない、でもっ…!!」
瞳に沢山の涙を浮かべ、玲音は扉の方にいる赤木へと視線を移す。
「なぁに、コレは全部オレが悪いんだ。」
「だってよ、玲音。」
銀二が二人を許すことを告げると、赤木もいつもの調子で答えた。
「それに、お前だけが辛いんじゃ割に合わねぇだろ。」
苦しそうに、銀二は笑顔を作る。
「ぎ…んさんっ…」
銀二の腕に抱きしめられ、玲音は涙を流し続けた。
カチャッ スッ
赤木は持っていた合鍵をその場に置き、部屋を後にした。
「せいぜい幸せになれや。」
そう一言残して……
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ブルル…ブルル…
二人の家を出たところで赤木の携帯が鳴る。
ピッ
『赤木さぁーん!!』
聞き覚えのある声だ。
「お、ひろか。」
『「お、ひろか」じゃないですよっ!!何で今まで出てくれなかったんですかっ!!』
「まぁ色々な。」
『色々って…そんな事より、今、天さんと原田さんと一緒なんですが赤木さんも打ちませんか??』
「……」
『赤木さん?』
「…あぁ、いいぜ。」
『ホントですかっ?!やった!!赤木さんと打てるなんて嬉しいです!!!ダメ元で誘ってみて良かった…』
「ククク…」
『ちょ…赤木さん?何がおかしいんですかっ?!』
「いや…」
「俺はやっぱりひろが一番好きだぜ。」
『なっ///』
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あとがき
4つくらいに分けようと思ってましたが全部打ってしまいました。
読み辛かったらごめんなさい;
そして変えたかった結婚オチ。結局そのままにしてしまった恥ずかしい←
文才がないのも妄想の方向がおかしいのもいつも通り!
ここまで読んでくださってありがとうございました、玲音様o(^-^)o
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[mokuji]
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