背後には愛しさだけ


少し震える指先でチャイムを押す。
ピンポーンと軽い音を立ててそれは鳴った。
すぐにドアノブが内側から開けられる。

「いらっしゃい。上がって上がって。」
「お、お邪魔します。」

中から開けてくれたのは私の恋人でもあるクダリさんだ。今日はお休みだからいつもの重ための真っ白なコートではなく細めのスキニーにざっくりとしたVネックのニットを着ている。シンプルな格好なのにお洒落に見えるのは私の惚れた欲目なのか、それとも彼のスタイルと雰囲気によるのものなのか。おそらくどちらもだろう。

今日はたまたま私とクダリさんの休みが一緒だった。サブウェイマスターは超オーバーワークなため中々休みもない。そんな中貴重な休みを私にくれるなんて。どこかに出かけようか?と言ってくれたが、お疲れの彼にはゆっくり家で過ごして欲しいと思ったために今日はおうちデートになったのだ。とはいってもクダリさんの家にお邪魔するのは初めてなので緊張しないわけがない。


広々とした部屋に通されて、どこに座れば良いんだろう。勝手にソファに座っても良いのかな?人様のおうちにはそれぞれ拘りもあるだろう。キョロキョロと部屋の中を見渡すとすっきり片付いていて綺麗な部屋だ。

「ヒメ、こっちおいで。」

ふわふわのラグの上に腰を下ろしたクダリがぽんぽん足の間を叩いている。え?まさかそこに座れって?無理無理!いきなりハードル高すぎです!

「もー、聞いてる?おいでってばー」
「ひゃっ、」

痺れを切らしたクダリさんにぐっと手を引かれ、重力に逆らうことなくそのまま倒れ込む。抱き留められてそのまま足の間に下ろされる、するりと蛇のように腕が回ってきて、後ろから抱き締められ隙間なく埋められる。

「う...あ、ちょっと、近いです。」
「だめ?」
「だめ、じゃないですけど...は、恥ずかしいです...」

どう足掻いてもこの腕は離れてくれなさそうだ。大きな手にそっと手を重ねてみると満足そうにクダリさんが髪の毛を一束とって軽くキスを落とした。

「ね、今日はどうしておうちデートなの?」
「クダリさんにゆっくりして欲しかったからですよ。」
「そっか。うちに来たってとこは、僕に何されても良くなっちゃった?」
「...!?違います!」

くるりと振り向くと、いつも以上に笑みを深くしてニヤリと笑うクダリさんと目が合った。この人天使なんて言われてるけど全然天使なんかじゃない...!天使はこんな意地悪な顔で笑わない!

「そうなの?僕はヒメのこと全部欲しいんだけどなあ。」
「もっ、なんでそんな恥ずかしいことばっかり言うんですか!?」
「だって僕ヒメのこと愛しちゃってるんだもん。ヒメは?」
「わたしだって大好きですよ!」

なんだかもうやけくそになって半ば叫ぶように言うと、がぶりと晒された首筋に噛み付かれ、いきなりの刺激に肩がびくりと跳ねた。

「やだっ、何してるんですかっ...」
「ふふっ、可愛いな。」
「クダリさんなんかきらいです!」
「知ってるよ?ヒメは僕のことだーいすきだもんね?」
「...っ」






背後には愛しさだけ

(僕だけしか見えないようにしてあげるね。)







*****
伊織様から頂いた、イケメンクダリさんとおうちデートでしたー!
私の中でイケメン=ちょっと意地悪なイメージなので一枚上手なクダリさんをイメージしてみましたwこの後はどろどろに愛されて骨抜きになってしまえばいいなと思っています(遠い目)
リク頂きありがとうございました!!





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