さあ、骨抜きに
 

「ヒメってねー、なかなかやきもちとか妬いてくれないんだよねー。」
「ふーん。」
「やきもち妬くとこ見たいなー、可愛いだろうなー」
「悪趣味ね。」
「カミツレ、協力してよ!」
「いやよ、面倒だし。」
「うーん、どうしたらいいかなー?ぼくヒメじゃなくてカミツレみたいな美人さんが実はタイプなんだよね!ぼくと付き合わない?...なんてどうかなー?」

はあ?
この白い人何言ってんの?彼女がいるのに堂々と二股宣言ですか?
私はその日はクダリにお弁当を作って持ってきて欲しいとねだられたので、お昼過ぎにここまで来たのだ(お兄さんのノボリさんと今日は仕事の打ち合わせで来ているカミツレさんの分も)。なのに休憩室のドアを開けたら私はタイプじゃないからカミツレさんと付き合いたい?馬鹿じゃないの。

「ヒメ!待ってたよー!」
「はい、お弁当。私帰るから。」
「えー!?一緒に食べないの!?」
「仕事があるから。ばいばい。」

休憩室の扉を力任せに閉めて足早に立ち去る。ここにこれ以上いたくない。私惨めじゃない。そのままギアステーションの出口まで急いで向かった。

「ヒメお仕事なのかー、一緒にお昼食べたかったなあ。」
「あんた本気で言ってるの?救いようのない馬鹿ね!」
「え?」
「どうみても怒ってたじゃない。早く誤解と解いた方が良いと思うけど。」
「クダリボスー!スーパーマルチに挑戦者来たのでお願いします。」
「タイミング最悪ね...」





「クダリ、お昼は食べないのですか?」
「いらない。気分じゃない。」
「また食べないのですか?ヒメ様のことで悩んでいるのでしょう?カミツレ様から聞きましたよ。」
「うん...」
「あれから一週間ですがまだ会っていないのですか?」
「だって電話も出てくれないし、メールもいっぱい送ってる。職場も取り次いでもらえないし、家に行ってもいないもん。」
「(おそらく居留守でしょう。これはこれはヒメ様も相当ご立腹なのですね。クダリに非があるとはいえさすがに可哀そうです。)
本日午後からお休みしても構いませんよ。もう一度頑張ってみては如何です?」
「...うん!行ってくる!ありがと!」
「まったく手のかかる弟です。」






私が仕事を終えて自宅に帰ってくると、ドアの前にクダリが座り込んでた。もう外は随分寒い季節なのにいつからからここにいたのかな。小さくなって膝に顔をうずめてるから私には気付いていないんだろう。ここに来た理由はきっとひとつしかない。私だってクダリがあんなこと本気で言ってるわけじゃないって後からちゃんと分かった。でも、なんだか惨めで悔しくて意地になって彼からの連絡を拒んでしまった。

「なに、してんの。」
「ヒメ!ぼくちゃんと謝らないといけないと思って!」

私の声に弾かれたように顔を上げ、私を痛いくらい抱き締める。クダリの体はすっかり冷え切っていた。そりゃあずっとこんなところにいたら当たり前だよね。中々離れないクダリを半ば引きずるように部屋の中に入れ、砂糖を多めに入れたホットミルクを手渡した。
床に座ったクダリがソファに腰掛けている私の膝に縋るように頭を乗せてきた。

「...ごめんね、ほんとにごめん。」
「もう良いよ。私だってくだらない意地張ってごめん。」

それからぽつぽつと話のいきさつを話し始めた。

「もう、ほんとに馬鹿なんだから。」
「ヒメがいないとご飯もおいしくないし、何にも楽しくない。ぼくヒメがいないとだめなの。」

ぐすぐすと啜りながら話すクダリ。どうしてそんな嬉しいこと言ってくれるかなあ。私だってクダリがいないとだめなの。すり寄ってくるふわふわの銀髪を撫でながらそう思った。

さあ、骨向きに

(これは重症です。もう救いようがありません。)







*****
ちづ様から頂いた、勘違い喧嘩→仲直りのリクでしたー!
お相手はどちらでも構わないとのことでしたのでクダリさんにしました。うちのサイトはほっとくとノボリさんばっかりになるのでwちょっと糖分控えめな方向で書いてみました。あまり描かないシチュなので試行錯誤しながらでしたが、ちづ様に気に入って頂けたら嬉しいですー!リクありがとうございました!またいつでも遊びに来て下さい(*´∀`*)



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