パノラマを撃ち抜いて


けたたましく鳴る目覚ましの音で目が覚めた。時間を確認すればまだ5時だ。本来であればまだまだ寝ていたい時間。今日は仕事が休みだからこんなに早起きする必要はないのだけれど。私の恋人のクダリが仕事なのだ。だから私は送り出す準備をするためにこの時間に起きる。

サブウェイマスターとしてバトルサブウェイの最高責任者である彼と双子のお兄さんであるノボリさん。二人は朝も早いし夜も遅い。一応私には一人暮らしをしているマンションはあるがほとんど家には帰っていない。というのも、超多忙なクダリとは中々会える時間がないためほぼクダリの家にいる。半同棲状態だ。

さて、そろそろ動かなければ。
私をきつく抱き締めている腕をそろりと解いてベットから降りる。すると、後ろから腕を引かれてベットに戻される。

「ヒメ..どこ、いくの...?」

まだ半分以上夢の中に足が浸かっているせいかぼんやりとした目でこちらを見ていた。

「起きるの。朝ご飯とお弁当作ったりするから時間がないの。」
「だめ、まだいっしょにねよ...?」
「だーめ。起きて!」
「今日おやすみ、だっけ?」
「そ、私は休み。クダリは仕事!」
「ぼくもやすむ」
「おばか!」

寝起きのクダリはいつもに増して子供みたいだ。だんだんと目が覚めてきたのな腕に篭る力が強い。その上私のうなじにちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら吸い付いている。

「ね、お仕事やめちゃえばいいよ。」
「はあ?」
「それでね、ぼくのいえにずっといればいいよ!朝ごはん作って、お弁当作って、行ってきますのちゅーして、帰ってきたらごはん作って待っててくれて、一緒お風呂に入って、いっぱいくっついて、一緒に寝るの。」

...きゅんとしてしまったのはきっと不可抗力だ、だってこんなきかっこよくて可愛くて優しくて、甘えん坊なクダリにそんなことを言われてときめかない人がいるならお会いしてみたいものだ。

「だめ?」
「や、その、だめ...じゃないけど、ぁ、う。」

そんな捨てられたヨーテリーみたいな顔で聞くのは辞めて欲しい。はっきり断れなくなっちゃうじゃない。だめだためだ。このままじゃ流されてしまう。
そんなときに救世主は現れるものだ。

「クダリ!いつまでヒメ様に迷惑をお掛けするつもりなのですか!さっさと準備なさい!」
「げ、ノボリ」
「げ、ではありません!」

ばーん、と勢いよく寝室の扉を開け放ったのはお兄さんのノボリさん。クダリとはまた違った魅力の素敵な人だ。
渋々と私を解放し、のらりくらりとベットから起き上がった。さて、私も急がなくては!

「ノボリさん、朝ご飯は済ませましたか?」
「いえ、お恥ずかしながらまだなのです。」
「じゃあ今から作るのでリビングで待ってて下さい。あと、お弁当もクダリの分と一緒に作っちゃいますね。」
「ありがとうございます。是非お言葉に甘えさせて頂きます。」
「えー!ノボリになんて作らなくていいってばー!ヒメはぼくのだからノボリにそんなことしなくていいの!」

キーキーと喚きながら、ばたばたと着替えをしているクダリと、私が入れたコーヒーを優雅飲むノボリさんを見ながら、さっきクダリが言ってくれた言葉の返事はもうしばらくして仕事が落ち着いたらしようと心の中で決めたのであった。



パノラマを撃ち抜いて
(わたしがおちてきたときはうけとめてね)







*****
ルナ様から頂いたクダリさんお相手の糖分高めのお話でしたー!
糖分高め...だと信じたいです!笑
甘えん坊クダリは最強だと信じています。勝てる自信が全くありませんw
前作に続きこちらも気に入って頂けると嬉しく思います。
キリリクありがとうございました^^



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