ポルターガイスト


「もっとたくさん会いに来て下さい。」




彼女はそう控えめに言いました。身体の弱い彼女は病院にいることが大半でした。会いに行こうと思っても、迷惑になるのではないか、私の独りよがりではないかと憚られていました。いつも私ばかりが貴女に溺れているのだと思っておりました。私はそう言った彼女をとても愛おしく思いすぐに会いに行こうと決め、少しばかり身なりを気にして飛び出しました。そして早く早くと急くばかりにうっかり車の鍵を持たずに出てしまったのです。取りに戻る時間も勿体なく感じたので、今日は電車で参りましょう。ひとつ乗り換えた時に、私はすっかり貴女に侵されていると思ったのです。貴女のことを考えると乗り換えも、どんなに電車が混んでいても不思議と面倒には感じません。ああ、早くお会いしとうございます!









「貴方が真実で最後なのです。」



いつかそう口走った貴女を思い出しました。意味を問うてみると、自分には真実しかいらない、と零しました。私は涙が出そうになる位嬉しかったのです。それはつまり私しかいらないということでしょう?愛する人にそんなことを言って頂けて私はなんて幸せなんでしょうか。最近体調のせいか以前より痩せて笑顔が少なくなった貴女を微笑ませるために尽力致しましょう。
貴女の部屋の前に着きました。
そのとき私はふと思ったのです。
もしも、もしもこの部屋に貴女がいなくとも、誰もいない部屋に差し込む光が幻であろうとも、何も恐れるものはありません。私が貴女を愛しているこの思いは決して消えはしないのです。そう、神だろうと私達を裂くことは出来ません。



貴女はいつも私の一足先にいて、微笑んでいました。その美しさは幻想のようでした。合わせて私が手を伸ばせばすぐに消えてしまいそうな儚さを兼ね備えていました。それでも私は貴女に触れたくて手を伸ばさずにはいられない浅ましい男です。でも貴女はこんな私を愛して下さるのです!すぐに貴女を欲しがるこの気持ちがいつか消えようとも、これこそが何よりも美しい瞬間なのです。貴女だけに愛を捧げます。

少し遠くから聞こえる踏切の音を聞きながら、




ポルターガイスト






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京様から頂いた、焦がれるノボリ夢でしたー!椎名林檎のポルターガイストをテーマにしたお話です。タイトルも色々と悩んだのですがやっぱり元のままのタイトルがしっくりくると思ったのでポルターガイストにしまきた^^
曲をテーマにして書くのは初めてだったので、まだまだ未熟ですがお気に召して頂けると嬉しいです!
いつも遊びに来て下さってありがとうございます!いつも京様とたくさんお話が出来て嬉しいです(*´∀`*)趣味が合い過ぎてもうやばいですねwまたお話しましょうー!今回はリク頂きありがとうございました!



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