あまく蕩ける

「え!?ちょっと!下ろしてー!」
「ギアステを救えるのはお前しかおらん!」

ホームでお客様の誘導をしていたらいきなりクラウドさんに担ぎ上げられた。すっごい注目浴びてる...!
ワケが分からないままインゴさんとエメットさんの執務室に投げ込まれた(ひどい!)。ドアが閉まる前に手を合わせたクラウドさんと何人かの鉄道員が見えた。

「全く、いつまでそこに座っているのデス。相変わらずトロいですネ。」

落ちてきた低音に顔を上げるといつもに増して機嫌の悪そうなインゴさんが仁王立ちしていた。ああ、私がここに連れて来られた理由はこれか。

「強い挑戦者来ないんですか?」
「えぇ、その上ATOのトラブルは多いですし、挙げ句の果てにエメットが期限ギリギリの書類を残してエスケープしました。」

...エメットさん。
どこほっつき歩いてるんだか。
インゴさんはたまにこんな時がある。いつもよりくっきりと眉間に刻まれた皺に、ドス黒いオーラが漂ってる。なるほど、インゴさんのご機嫌取りで私が生贄になったわけか。まぁ確かにこの状態だと仕事もやりにくいだろうな。

「ん、」

ちょいちょいと手招きをされたので、高そうな革張りのソファに近付いた。すると、そのまま手を引かれソファに座るインゴさんの膝の上に乗せられた。

「インゴさん!」
「お黙りなさい。オマエは此処で大人しくしていれば良いのです。」

...私とインゴさんは恋人同士だ。
さすがにお互い職場では弁えてるつもりだけど、インゴさんがこうしてくるのは珍しい。するりとお腹に回された左手に抱き寄せられて、私の背中がインゴさんの胸にぴったりとくっ付いた。そのままの体勢で空いた右手で書類のチェックをし始めた。

「コーヒー入れてきましょうか?」
「いえ、結構デス。オマエの仕事は私を癒すことデス。」
「うーん、癒すかぁ...」

この状態で癒すって言ってもなー。
何かないかとポケットを探ってみると、昨日エメットさんにもらった飴が入っていた。私ミルクが好きなんだよね。白いそれを口に入れてインゴさんにも聞いてみる。

「飴食べます?疲れてる時には甘いものが良いですよ。」
「そうですね、頂きマス。」
「えーと、苺とレモンとぶどうがありますけどどれにしますか?」
「今ヒメが食べているのは?」
「これはミルクですねー。」
「ワタクシもそれがいいです。」
「えー、ミルクひとつしかないで...んっ、」

ぐっと顔を振り向かされてキスをされた。キスだけじゃなくてぬるりと柔らかい舌が入ってきて私の舌を絡め取る。インゴさんと私のそれが絡んでいる隙間に所在なげに転がっていたそれは私達の体温でみるみる内に小さくなっていった。一瞬インゴさんの元に行った飴玉は、再度私に口移された。

「ワタクシには甘すぎるのでお返しします。」

すっかり息の上がってしまった私の頭を撫でてインゴさんは軽く微笑んだ。あ、眉間の皺消えてる。機嫌もだいぶ直ったみたいだ。

「さて、今日は早く終わらせて一緒にディナーに行きましょう。」
「やったー!」

更に隙間なく抱き寄せられて、ものすごい早さで書類を片付け始めた。おお、この調子だと定時より速く片付きそうだ。インゴさんに擦り寄ると優しく撫でてくれる大きくて骨張った手がとても心地良いと思った。






あまく蕩ける
「タダイマー!わ、インゴとヒメといちゃいちゃしてるー!」
「や、ちょっと、インゴさん!恥ずかしいから離して下さい!」
「エメット殺ス!」
「!?」





*****
七様からリク頂いたインゴ甘でしたー!
連続で踏んでくださってありがとうございます(*´∀`*)
本当はくっ付きたいけど恥ずかしくて誰もいないところじゃないと出来ないインゴさんだったら私が喜びますw
お気に召して頂けたら嬉しいです^^
リクありがとうございました!




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