変わらない朝の為に
あ、どうしよう。
可愛過ぎて止められない。

ラグの上に押し倒して、抵抗するヒメの両手を頭上で一纏めにした。怯えた様な目でこちらを見ながら、ひくりと震えた喉にキスを落とした。
元々あってないようなボクの理性が削げ落ちて行くのが分かった。

「ぅっ、ひ...っく、」

するりと忍び込ませた手がヒメのスカートの中に潜るとほぼ同時に何かに耐えるようなヒメの声が聞こえた。顔を上げると唇を噛み締めてはらはらを涙を流していた。

「...ダメ、かな?」
「っやだ、こわい...私そういうこと、したことないって言ったのに...!」
「ヒメって難しいネ...」
「...っ!!エメットなんてきらい!!」

ボクの手を叩く様に弾いてヒメは身なりを整えてボクの家から飛び出して行った。追いかけたけれどタクシーに乗ってしまったのかもういなくなっていた。それから電話もメールもしたけど一切返って来なかった。









「ハァ...」
「さっきから何デス。鬱陶しい。」
「ボク今傷付いてるからそっとしてて。」
「どうせヒメのことでしょう?聞いてやらないこともないですよ。」
「アー、うーん、実はね...」

昨日のことをインゴに話した。誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。何だかんだでインゴは優しいなぁ、なんて思っていたら話を進めていくにつれてインゴの顔が引きつっていった。アレ?なんで?

「...ってこと。」
「この愚弟!お前はどれだけ頭が悪いのですカ!!」

ごつんと鈍い音を立ててインゴの拳がボクの頭に振り下ろされた。さっきのウソ!全然優しくなかった!

「イタイ!何するのさ!」
「全く。ヒメがそのことを気にしているのを知らないのですカ?」

インゴが言うには昨日ボクがトレインに乗っている間にヒメがぽつりと言ったらしい。ボクには今まで沢山彼女がいたから自分みたいな手を出しにくい女は大変じゃないのかな、と。そこでインゴはそんなことない、ヒメのペースで進めばいいとフォローを入れてくれた矢先の晩の出来事だったと。僕が今までの彼女達と比べて言ったと思ったんだろう。もちろんそんなつもりで言ったんじゃなくて、ボクが我慢出来なくなってしまったのがいけなかった。今更言っても遅いケド...

「ウッソ...、ヒメがそんなこと思ってたの知らないでボクあんなこと言っちゃうなんて...」
「ヒメが怒っても仕方ないでしょう。」
「ちゃんと話し合ってくる!」
「えぇ、そうしなさい。」
「インゴ、アリガト。」
「いつまでも落ち込んでいられても迷惑なだけデスから。」







***

「昨日はホントにゴメン。確かにボクは今まで色んな人達と関係を持ってたから不安に思ったよね。」
「ねぇ、」
「あの、昨日すっごくキミが可愛くどうしようもなくて我慢出来なくなっちゃって...」
「エメット、」
「それでキミを傷付けるようなこと言って...でもちゃんと待てるカラ!ヒメのこと誰よりも大切にしたい。」
「エメットってば!」

ヒメの家に行ってどうにか顔を会わせることが出来たけれど、ヒメから何を言われるかが怖くて一方的にに告げた。こんなのじゃダメだって分かってるのに。ボクはキミにサヨナラされることが一番コワイ。
すると少しだけ大きな声でボクを呼んだ。怖くて、目を上手く合わせられなくて。俯いていたらふわりとヒメの香りがした。ボクの首に腕を回して抱きついてきた。

「私の方こそごめんなさい。怖い怖いって言ってばっかりでエメットの気持ち全然考えてなくて。」
「ヒメは悪くない!」
「ありがと。でもね、ちゃんと今のエメットの言葉で決心付いたから。ね?今日は泊まってって?」
「...っ、イイの?」
「良いから言ったんだよ。」

あぁ、困ったな。
どうしてキミはボクのド真ん中を突っついてくるのかな。柔らかくて良い匂いのする華奢な体をぎゅうぎゅうに抱き締めた。苦しい、って困ったように可愛く笑うキミがダイスキだよ。





変わらない朝の為に
「何ですカその顔は。にやにやして気持ち悪い。」
「ふふー、昨日ヒメの家に泊まったんだ〜ヒメ可愛かったなぁ〜」
「そうですか。」
「インゴにも早く可愛い彼女出来るとイイネ。」
「shit!!」






*****
七様から頂いたエメットと喧嘩→仲直りでしたー!
初エメットさん^^
チャラいけども本当に好きな子には不器用エメットさん良い...!と思ったのです勝手にそんなエメットさんを書かせて頂きました(笑
お気に召して頂けると嬉しいです(*´∀`*)
キリリクありがとうございました!!





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