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「ねー、まだぁー?」
「だーかーらー、私はまだ仕事が終わってないから帰れないって言ってるじゃないですかー!」

人が真面目にデスクに向かって書類を片付けてるのに、後ろでやかましいったらこの上ない。自分は終わったんだから私に構ってないで帰れば良いのに。変な人。

「もうさ、残りは明日でいいじゃん!今日は早く帰って一緒にごろごろしよ!」
「明日は明日で大量の書類があるから無理です。」
「むー、つまんない!」

つまんないって。
私だって帰りたいのは山々です。
はあ、とひとつ溜息をこぼしてまだ手を付けていない書類に目をやると、耳元で軽くリップノイズが響いた。二人しかいない執務室でそんなことが出来るのは彼一人しかいない。たっぷり時間をおいてそう理解すると急に恥ずかしくなってきて耳を抑えて振り向いた。思ったよりずっとそばにクダリさんの綺麗な顔があった。

「ね、明日ぼくも手伝うから今日はかえろ?ぼく今日はとってもきみとくっつきたい気分なの。」
「〜っ!き、今日だけですからね!」
「やったー!」

小悪魔の誘惑に勝てる気がしない。


(耳へのキスは誘惑。)

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