髪
最近はノボリさんとすれ違ってばっかりだった。
始めはノボリさんのお仕事が繁忙期になって会えなかった。お仕事が落ち着いたと思ったら、次は私が急遽出張に行かなければいけなくなった。もともと週に2、3回会っていたのに、会わないままかれこれ二か月くらいが過ぎていた。
今日はやっと休みが合い、久しぶりに一緒に過ごすのだ。ノボリさんの家に着いてすぐに抱き寄せられ、もう2時間はこの体制だ。先ほどからずっと髪の毛に口付られている。髪の毛自体には触覚はないのにくすぐったく感じる。少し身じろぐと、抱き締める腕を強められる。
「こら、逃げないで下さい。会えない間ずっと貴女のことだけを恋しく思っていたのです。」
(髪へのキスは思慕。)
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