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「クダリさーん、これにサインお願いします。」
「んー、いいよー。こっち来てー」

サボっていたのか、休憩していたのか分からないがソファにだらりと伏せて間延びした声で答えた。

「こっちこっち。」
「?」
「ぼくの横。」

手招きをされて向かったのはソファに腰掛けるクダリさんの隣。クダリさんは子供みたいで次に何を仕出かすか分からない。たぶん分かってるのはノボリさんくらいなんじゃないのかな。
言葉に従いクダリさんの横に腰を下ろす。

「あ、書類ちょーだい。」
「はい、お願いします。...ひゃっ!」

書類を握っている私の手を通り過ぎて、クダリさんの大きな手が私を抱き締めた。

「...や、ちょっと...クダリさん!」
「あのね、ぼく最近ずーっとバトル負けてないし、ちゃんと書類もがんばった!」
「は、はあ...」
「だからいつものごほうびちょーだい!」
「え?」

固まってしまった私をそっちのけで満面の笑みで堂々と言い放った。こんな誰が来るかも分からない場所で!クダリさんのばか!

「ねえねえ、はやくー!」

まだ固まったまま動かない私を催促するように、じいっとこっちを灰色の目が見ている。
ああもう!どうにでもなれ!
ぎゅうっと目を閉じてクダリさんの頬に軽く口付ける。

「ふふー、ありがと!これでぼく今日もがんばれる!」
「あ、ぅ、はい...」
「ぼくもごほうびあげるからこっち来て?」

今日もこうやって私は振り回されるのです。でもそれも満更ではないなんて内緒です。



(頬へのキスは親愛の意。)


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