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戦え乙女




「そうですねぇ、どちらかと言うとクダリはカルボナーラの方が好きかと。」
「ええ!私と一緒!嬉しいです!」
「それはようございました。ところで、ヒメ様?」
「はい?」
「いつになったらクダリとそのようなお話をされるのです?」
「う、あ、あさって!」
「一昨日も同じことを仰せでしたが。」
「......えへ、」


ヒメ様がこうして週に2、3回来られる様になったのはいつ頃からだったでしょうか。
「クダリさんと仲良くなりたいんです!」
といきなり仰ってきたときは大変驚きました。私とて「仲良く」がどういう意味ということ位分かります。ただ単にクダリの外見でしたり地位などを目的であればお断りしているところですが、ヒメ様はそういったお方ではないのでこうして共に休憩を過ごしているのですが。

「ノボリさんノボリさん!クダリさんはどんな子が好きなんでしょう?」
「好みは分かりかねますが、以前お付き合いしていた方は大人しい方でございました。」
「大人しい...!」

私の前だとこんなにも饒舌にコロコロと表情を変える可愛らしい方なのですが、クダリの前になると一変してそれはもうガチガチで挙動不審になるのです。

「ヒメちゃん!」
「...!ク、クダリさん」
「最近ダブル来てくれないね。」
「あは、えーと、そ、そのうち行きます...(しゅんってしてるクダリさん可愛い!!!!!!)
じゃあ私これで。」
(ヒメ様のお馬鹿!何をしているのです!!)
「あー...行っちゃった。ねー、ノボリ。ヒメちゃんって結構大人しい子なんだね。」

とクダリが言うくらいに。
決してそんなことはありませんのに。本当に困ったものです。















「ノボリさん!また来ちゃいました!」

ちゃんと鉄道員さん達の許可を取ってスタッフオンリーの休憩所に。ノボリさんがいつもこの時間に休憩なのは知ってるんだから。

「ヒメ様、いらっしゃいませ。」

どうぞ?とすらりと向かい側の椅子に座る様に促してくれる。ノボリさんにはほんっとーにお世話になっている。クダリさんの前だと緊張しちゃって目も合わせられない。クダリさんが行ってしまったあとの後悔といったらないんだから!

「やっぱりクダリさんってお洋服も白が好きなんですかねー?」
「白は好んで着る傾向にございますね。あとは黒や茶色も着ていることもございます。」
「黒のクダリさん...!きっと素敵なんだろうなぁ。」
「...ところでヒメ様?」
「はい?」
「クダリのことをどうお考えなのですか?」

何だかとっても今更なことを聞くんだなぁ。その話かなり前にしなかったっけ?答えはひとつしかないに決まってる。

「大好きに決まってます!例えばですね、いつものエンジェルスマイルとか、バトルで勝ったときの嬉しそうな顔なんかも最高に素敵ですし、トレインがホームに着くまでに話をしてくれるときの優しい雰囲気とか、お仕事してる時の真剣な表情もいつもと違って良いですねぇ。あと「あの、もう大丈夫だから...」

もう!ノボリさんから教えて欲しいって言ったのにー。しかもクダリさんの好きなところとかまだまだ語り足りない!
...ん?

「なんでノボリさん顔真っ赤なんですか?」

私の前に座って、手で顔を抑えているノボリさんの顔が林檎みたいに真っ赤なのだ。

「...あのね、ぼくクダリ。」
「...............え?」

嘘だ...!
いつから?最初からだよね?なんで?
私今大変なことを言ったんじゃ?
頭が混乱してオーバーヒートを起こしそうだった。
そんな私を尻目に、黒い制服を着たクダリさんが私の手を握った。

「騙す様なことしてごめんね?でもね、僕ヒメちゃんのことずっとずっと気になってたからもっとお話したかったの。」
「...っ、」
「でもヒメちゃんいつも逃げちゃって...でもノボリとはよくお話してるみたいだから無理言ってノボリに変わってもらっちゃった。えへへ、でもヒメちゃんも僕のこと好きって知らなかったなぁ。」

そう言って嬉しそうに頬を染めるクダリさん。どうしよう、どうしよう!そんなに都合の良いことがあって良いんだろうか?クダリさんも私のことが好きなんて...!
まだ信じられない私は自分の手の甲をひねってみた。痛い!本当なんだ...!

「傷付いちゃうよ?」

いつの間か私横に移動していたクダリさんにそっと止められて、少し赤くなったそこを優しく撫でられる。

「ね、僕達まだまだ知らないことが多いけど、これからずっと一緒にいるんだしいっぱい思い出作ろうね!」
「はいっ!」

夢みたいだけど、夢じゃない現実。
これからきっともっと幸せだ。
ずっとクダリさんと一緒にいたい。

「あのねー、僕子どもは男の子と女の子ひとりずつ欲しいんだ!」
「早くないですか!?」
「ううん、早くない。だって君のこと絶対死ぬまで好きだもん。こんな気持ち初めてなの。」

...どうやら私は一生この人に夢中のようだ。








(戦え乙女)
「ノボリばっかりいつもヒメちゃんとずるい!ノボリのこと好きなの?」
「さあ、どうでしょうね?聞いてみれば良いのでは?」
「〜〜っ、変わって!ずるい!」
「今回だけですよ。」












***
リツ様リクエストの、クダリさんが好きで、ノボリさんに恋愛相談をしているヒメちゃん。いつも通りノボリさんに相談しに行くが、その日はノボリさんに入れ替わっていたお話でした。
リツ様、遅くなって申し訳ありませんでした(;_;)
あざと可愛いクダリさんを目指してみたのですが難しいかったです...!お節介焼きのノボリさんとヒメちゃんの気持ちに全く気付いていないクダリさんで書いてみました^^
お気に召して頂ければ幸いです!
開設当時からいつも本当にありがとうございます(愛
これからもどうぞ宜しくお願いします!






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