幸福の満ちる時

※ノスタルジックガール番外編





「いってらっしゃい。」
「行って参ります。」
「早く帰ってくるからねー!」

今日はユキは公休で、私とクダリは出勤でした。極力同じ日に休みが取れるように調整していますが、やはり仕事の関係上月に1、2回は重ならないこともございます。今日はそんな日でした。
玄関まで見送りにきてくれたユキの頬にキスをして出るのを名残惜しんでいるところでした。

「あ、さっきカミツレさんから連絡があって、今日はカミツレさんもお休みらしいのでお出掛けしてきますね。」
「...え?」
「...は?」
「あれ?だめでした?」

一瞬フリーズしてしまった私とクダリを見てユキが不思議そうな顔をしていました。

「や!だめじゃないよ!だめじゃないけど...」
「お気を付けて下さいね。何かあったらすぐに連絡するのですよ?」
「もー、大丈夫ですってば!」

にこにこと今日も可愛らしい笑顔で見送って下さいましたが、その笑顔とは裏腹にどうも私の心の内は晴れません。えぇ、理由はとうに分かっているのです。

「ノボリ...」
「えぇ、そうですね。」








「おはようございます。本日の朝礼を始めます。」
「あのね、僕たち今日これから有給取るからあとよろしくね!」
「「「!?」」」
「ボス!トレインはどうするんやって!」
「さすがに当日の運休は出来ませんので皆様頑張って挑戦者の方々を通さないようにして下さいまし。」
「いやいや!あの双子が来たら無理っすわ!」
「大丈夫!僕ら今日は大事な用事があるから今度って言えばあの二人は分かってくれる!」
(((絶対ユキ(ちゃん)絡みだ!!!!)))

さて、無事に有給も取れたのでユキ達のところへ向かうとしましょうか。








***

「ノボリいたいた!」

おそらく買い物ということでしたので、ライモンシティで一番大きなショッピングビルに来ました。割とすぐにユキとカミツレ様を見つけることが出来ました。
ユキは黒縁の伊達眼鏡、カミツレ様は大きなつばのついた帽子をかぶっていましたがやはり二人は目立つのです。

「わ!今日ユキおだんごだ!」
「ブラボー!お団子を考えた方を称えたいですね!」
「ぼく気付いたんだけど、もしかしてユキって天使!?」
「今更気付いたのですか?私大分前から気付いておりましたよ。」

休憩なのか二人はベンチに腰掛けて話をしているようでした。周りのお客様もちらちら見ている方が多いです。全く、私のユキをそんな目で見ないで下さいまし。カミツレ様が何か言って席を外しました。仕事の電話でも入ったのでしょうか?

「ユキいっぱい荷物持ってる。ぼくが持ってあげたいなぁ。」
「えぇ、その通りです。あの細腕で持っていると心配になりますね。」
「ちょっと、そこの変態双子!」
「「!?」」

後ろから声を掛けられて振り向くとそこには仁王立ちのカミツレ様がいました。

「あんた達何してんのよ!」
「ユキが心配だからついてきた!」
「気付いていたのですか?」
「そりゃ図体のでかい双子がこっち見てたら気付くわよ。」
「なんと...!」

カミツレ様と話している間にちらりとユキを見ると、三人の男性の方に話し掛けられていました。困ったように返答しているユキでしたが、その態度に痺れを切らしたのか一人の男性がユキの手を掴んで何処かに連れて行こうとしました。私は飛び出していました。

「その汚い手を離して頂けますか?彼女は私の連れですので。」

彼女を腕を掴む男性の手を掴んでぎりぎりと力を込めました。一刻も早く離して頂きとうございます。すると周りの男性方も何か言おうとしました。

「あのね、ユキに変なことしたらぼく君たちのこと表に出れられない顔にしちゃうかも。」

口元だけに笑みを浮かべたクダリの言葉に引きつった顔をして慌てて去って行きました。ユキに手を出したら私とて黙ってはいません。肝に命じておくことです。

「ノボリさん!クダリさん!なんでここに?」
「えと、あのね、今日は仕事が早く終わったから来ちゃった!」
「ええ!?珍しいですね!でも嬉しいです!」

クダリの言葉を素直に受け取ったユキ。素直で可愛らしいですね。きっとご両親にの育て方が素晴らしいのでしょう。近い未来挨拶に行く日が来るのですから私も恥ずかしくないようしっかりせねば!

「ノボリさん?」
「先程は大丈夫でしたか?」
「大丈夫です!ノボリさんが助けてくれましたから。ありがとうございます!」
「ふふ、当然のことですよ?」

いつものように頭を撫でたくなりましたが、今日は綺麗に作られたお団子がありましたので、ゆるりと頬を撫でると少しだけ照れた仕草を返してくれました。

「はいはい、こんなとこでいちゃつかないの。すっごい目立ってるわよ?」

はっとなり気付くと注目の的になっておりました。確かにスーパーモデルのカミツレ様、最近話題のユキ、サブウェイマスターの二人がいれば目立つことこの上ありません。

「ま、とりあえず食事でもしましょう?」
「だね!」
「はいっ!」
「参りましょうか。」

本日は大変素晴らしい有給になりそうです。





幸福の満ちる時
「今日なに買ったのー?」
「じゃーん!三人で色違いのマグカップです!いつもお世話になってる二人に何かプレゼントしたいなと思いましてー!」
「大変嬉しゅうございます!明日から職場で使いましょうね。」
「ところで今日は何でお仕事早く終わったんですか?」
「「・・・」」









***
ハル様にリクのノスタルジックガール番外編で、カミツレと買い物に行くユキちゃんについていくノボリとクダリでしたー!書いててすっごく楽しかったです...!やっぱりノスタルジックガールはさくさく筆が進みますね^^双子が安定の過保護っぷりですがw
リクありがとうございました!
もう一つの方も執筆始めますので少々お待ち下さいませ!
















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