*39話と40話の間位のお話*






「何を読んでいるのですか?」
「ノボリさん達が特集された雑誌ですよ。」

ソファを背もたれにして、ラグに腰を下ろした私。そして私を背もたれにして両足の間にぺたりと座り込むヒメ。雑誌を読むヒメを後ろから抱き締めて、柔らかい毛先をくるくると指に巻き付けたり、髪の毛に顔を埋めたり、優しく梳いてみたりを繰り返しておりました。

「そんな雑誌もありましたねぇ。」
「あんまりそういうの好きじゃないですか?」
「えぇ。あまりメディアに露出することは好まないですね。」
「そうなんですかー。私は恋人とお兄ちゃんがこんなに格好良くて特集されてたら嬉しいですよ?」
「貴女がそう言うなら悪くはないと思えます。」

ふわりと笑う彼女が愛らしくて抱きしめる腕に力を込めました。我ながら単純だという自覚は十分にこざいます。けれども彼女は私の全てでございますので仕方がありません。

「そういえば本日カミツレ様がいらした時にした約束は覚えておりますか?」
「え?あー、なんだったっけ?」

覚えているであろうにあくまでシラを切るおつもりでございますね。私は彼女の耳元に捻じ込ませる様に言いました。

「おや、お忘れですか?ヒメから私にキスをして下さる約束ですよ。」
「あ、う、そうでした...ね。」

びくりと肩が軽く跳ねて、後ろから見える頬が仄かに桃色に染まるのが見えました。いつまで経っても初々しい反応をして下さいます。何時もキスを送るのは私からでしたので、今日は彼女からして欲しいのです。

さぁ、と急かすともぞもぞと私の足の間でこちらを向き直り、胸元に擦り寄ってきました。そのまま頭をゆるゆると撫でると気持ち良さそうに目を細めるのです。そして、膝立ちになり私の首にするりと細い腕を絡ませました。私も応える様に背中に手を回し軽く支えます。

「恥ずかしいから、目...閉じて下さい。」
「仰せのままに。」

ゆっくりと瞼を落とし、ヒメのことを想像します。きっと先程よりも頬を赤らめているのでしょうね。あぁ、早く食べてしまいたいです。彼女の香りが鼻腔を擽り、柔らかい唇が私のそれに重ねられます。すぐに離れようとしたので、背中に回している腕に力を込めて引き留めました。彼女も理解したのか、それから何度も唇を重ねました。
そっと目を開けてヒメを見ると私の想像よりもずっと扇情的な表情にぞくりと鳥肌が立ちました。

「ふ、っぁ...!?」

我慢が出来なくなり、逃げない様に後頭部を手で抑えて舌を差し入れました。小さな舌を絡め取って嬲ると懸命に応えて下さいました。上顎のぽこりとした彼女の気持ちの良い所をなぞると回された腕に力が篭りました。

「っは、ぁ、」
「ふぁ、ノボリさ...んぅ、」

くちゅくちゅと水音が響き始め、飲み切れなくなった唾液がぽたりと顎伝い、彼女の固く閉じられた瞳からもつぅっと一筋涙が零れるのが見えました。
そろそろ限界だろうと思い、唇を離すと力が入らないのかそのまま私にしな垂れかかって参りました。肩で息をしながら涙が一杯に溜まった目で見上げられると、理性の鎖が引きちぎれそうになります。

「っ私、ちゃんと、出来ましたか?」
「えぇ、それはもうブラボーでございました。」
「え...!?や、ちょっと、待って下さ...!」

どうやら私の鎖は大変脆い様でございます。ぷちぷちとワイシャツのボタンを外す私を必死に引き剥がそうとしましたが、まぁ力の入っていない身体では大した抵抗は出来ません。ボタンが外され晒された首元には私が付けたキスマークや噛み痕が無数に付いておりました。あぁ、しばらく痕は付けてはいけないと言われていたのを思い出しました。仕方ありません。しばらくは我慢致しましょう。頭の片隅でそう思いながら彼女をそっとラグに寝かせました。さぁ、今夜も覚悟して下さいまし。



39.5
(君の熱に侵される。)







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匿名様から頂いた、ノスタルジックガール番外編で、39話の後日談のお話でしたー!激甘とのリクでしたので糖分たっぷり目にしてみました(*´∀`*)ノスタルジックガール自体が糖分過多な気がしますが...w
お気に召して頂けると嬉しいです!
今回は企画に参加して下さってありがとうございました(;_;)



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