ノスタルジックガール | ナノ

end


「ヒメさんとノボリさんの出会いは?」
「えと、私が挑戦者としてバトルトレインに乗ったのが最初です...」
「なるほどー 。ではノボリさん、ヒメさんのどこを好きになったんですか?」
「彼女の全てです。細く述べると日が暮れてしまうので割愛させて下さいまし。」
「おおー!溺愛ですね!」






「...もー!恥ずかしいからやめて!」
「えー!?だって勝ったから良いんでしょ?」

私の横に腰掛けていたヒメが限界が来たのか立ち上がって言いました。お相手はテーブルを挟んで向かい側に座るトウコ様とトウヤ様でございました。
そう、私はスーパーマルチにご乗車頂いて私達に勝利した方のみ質問にお答えすると申し上げました。それから初めて私達に勝利したのはトウコ様とトウヤ様だったのです。ちなみに喉から手が出るほど私達を記事にしたい方々は到達しておりません。良きことでございます。

「ところで二人はいつ籍を入れるの?」
「仕事が落ち着いたら...ですかね?」

トウヤ様の疑問にヒメが私の方を見て言いました。こてんと首を傾げたヒメにどきりとしました。私はいつまで経っても彼女の一挙一動に振り回されるのです。

「えぇ、今の繁忙期には難しいですのでもう少し先になりそうですね。」
「そっかそっかー。式には絶対呼んでよね!」
「もちろんだよ!」

にこにこと笑い合う二人を見て微笑ましい気持ちになります。するとトウコ様が少し真面目な顔をしてこう言ったのです。

「ねえヒメ、今幸せ?」

私も聞きたかったことにございます。ヒメは少しびっくりしたような表情を見せてから、すぐにふわりと美しく微笑んで、左手の薬指を軽く抑えて答えました。

「すっごく幸せ!」

ああ、ずっと私の側でその笑顔を見せて下さるのかと思うと胸がじわりと熱くなります。私はすっかりヒメに毒されているのです。

「ノボリさんは?」

トウコ様と同じ様な表情でトウヤ様が私に問いかけます。愚問でございますね。

「無論です。人生で一番幸せでございます。」

私達の答えにお二人は満足そうに微笑みました。ヒメも頬を赤く染めてこちらを見ていました。恐らくドアのすぐ外にはクダリや鉄道員達がいることでしょう。カミツレ様からも祝福のメールが来ていました。これを幸せでないという方が到底難しいことです。
愛しい婚約者がいて、唯一無二の片割れである弟がいて、誇りのある仕事が出来て、祝福して下さる友人達がいて、慕って下さる部下達がいて。私達は大変恵まれているのです。

ずっとヒメを守って行きたいという気持ちも込めてヒメの手と私の手を絡めました。少し照れくさそうに、それでもしっかりと握り返してくれるヒメにどうしようもない愛しさが募ります。

私と未来永劫一緒にいて下さいまし。
誰よりも、誰よりも愛しております。



...end?

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