ノスタルジックガール | ナノ

26




うぅ、やってしまった。
見なきゃよかった。
全力で後悔してももう遅いのは分かっています。




明日は三人とも仕事がお休み。だから今日は仕事が終わって、ゆっくりご飯を食べて、ポケモン達とまったり遊んで・・・ここまでは良かったのです。クダリさんがいきなりホラー映画借りてきたから見ようって言い始めた。私もホラーはすっごく苦手だけど、楽しみにしているクダリさんを見てたらそんなこと言えなくて。ノボリさんも結構ホラーは平気みたいで、いつもと同じ表情で見ていた。
ホラーだけならまだしも(全然良くないけど)、結構グロテスクなシーンとかも多くて、そんなシーンの度にびっくりして跳ねそうになる肩を抑えるのに必死だった。

映画が終わったら、お休みなさいの言葉を交わしてそれぞれの寝室に行った。私も部屋へ向かったけれど一人で部屋にいると改めて一人なんだって思わされて怖くなったのでリビングへ逃げてきた。なんとなくリビングにいた方が怖さが緩和されるような気がして此処を動けないでいるのだ。もう二時を回っているし二人とも寝ているだろう。私だって眠たいし、寝れるなら寝たい。目を閉じると思い出してしまって寝れないのだ。ランクルスがボールから出てきて話し相手になってくれたのでほっとしていた。

「ヒメ?」

「ひゃっ!」

いきなり後ろから声をかけられて変な声が出てしまった。ばくばくと脈打つ心臓を抑えながら振り向くとそこには寝たと思っていたノボリさんが立っていた。

「申し訳ありません。驚かすつもりはなかったのですが。まだ起きていたのですか?」

「はい、ちょっと眠れなくて。」

「さっきの映画のせいですか?少し無理して見ているようでしたから。」

ばれてる。ノボリさんには隠し事は通用しないみたいだ。ここは正直に言ってもいいかな。

「そうなんです。幽霊とか苦手で・・・ちょっと思ってたよりも怖くて眠れないんですよね。」

「ヒメはゴーストポケモンは好きなのに、幽霊などは苦手なのですね。」

くすくす笑いながら私の頭を撫でるノボリさん。だって、ゴーストポケモンと幽霊は違うもん。

「では驚かせたお詫びに今日は私の部屋で一緒に寝ましょうか?」

・・・え?
一緒に寝る?なんでそんないきなりハードルが高いことを!無理無理!恥ずかしくて死んじゃう!

「や、でも、そんな、迷惑なこと、」

「迷惑などではございません。」

しどろもどろになっている私に痺れを切らしたのかランクルス私の背中をぐいぐい押してくる。

「こら、ランクルス、だめだってば。」

「ランクルスの許可も頂けたので参りましょうか。」

私の手を優しく握り寝室へ連れて行くノボリさん。ランクルスが頑張ってね、マスターなんて言ってるのが聞こえてきた。頑張るって何を!?
そんな事をしている内にノボリさんの寝室に着いた。黒で統一されたとても落ち着いた部屋。広いベットに上がると恥ずかしくて堪らなくてベットのすみっこで丸くなる。

「それでは一緒に寝るにはなりませんよ?」

大きな手に引き寄せられ、ころんとノボリさんの腕枕の上に寝かされる。もう片方の腕も背中に回ってきた。う、あ、どうしよう。
どうして良いか分からず目の前にあるノボリさんのパジャマをぎゅうっと握ってみる。

「あの、腕痺れてきたらすぐに私のこと落として下さいね。」

「おや、私はそんな柔な男ではありませんよ。決して離しなどしません。」

いつも余裕な顔してそんなことを言うから私ばっかりいっぱいいっぱいな気がしてずるい。でもぎゅってしてもらうだけでこんなに安心出来るなんて。あぁ、やっぱり私ノボリさんのこと好きなんだな。そう自覚すると胸のつっかえが落ちたような気がした。
前と同じようにと背中を一定のリズムで叩かれていると、思っていたより眠かったのかすぐに意識がぼんやりしてきた。

「ノボリさん、」

「貴女が眠るまで起きておりますのて、安心してお休みなさい。」

その言葉に導かれるように意識を手放してしまった。手放す直前に頬に柔らかいものが触れたような気がしたけれど、現実か夢なのかもうわからない。








珍しく自然に目が覚めた。いつもはノボリかヒメが起こしにきてくれるまで起きないから。目をこすりながら枕元の時計に目をやると12時を指していた。今日はお休みだけど、この時間になっても起こしにこないなんてまだ二人とも寝てるのかな?
そっとノボリの部屋を開けると、ベットに幸せそうに体を寄せ合って寝ている二人が見えた。早く付き合っちゃえば良いのに。まぁでもそんなに遠くないかな?なんて思いながらぼくまで心があったかくなった。



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