ノスタルジックガール | ナノ

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本日は出勤してから、クダリが今日はシングルやりたい!と言い始めました。いつも着用している制服を入れ替え私がダブル、クダリがシングル担当になりました。以前からたまにこういったことがありましたが、私とクダリが入れ替わっても誰にも気付かれたことがなかったのです。少々淋しい様な気も致しますが、私とクダリがそっくりなのは勿論自覚しておりますので今更言っても仕方のないことです。
話が逸れましたが、本日ヒメは公休のためお弁当を作って持って来て下さると言っていました。心無しか軽い足取りで執務室へ向かいます。もうそろそろ来ている頃でしょうか?





執務室へ入ると、ソファには楽しそうに笑いながら後ろからヒメを抱き締めている黒いコートのクダリが目に入りました。これは私のフリをしているクダリではなくて、いつものクダリではありませんか。私少し混乱しているようでございます。するりとヒメがクダリの腕から抜け出し私の前までやってきました。

「お帰りなさい、ノボリさん。お弁当持ってきたのでランチにしましょう!」

白いコートを着ている私にノボリさんと言うヒメに、自分が今クダリのフリをしているのか分からなくなり、更に混乱してしまいました。

「ノボリ!ぼくたちが入れ替わってるのばれちゃった!」

「なんですって?」

「ノボリさんまで!二人の顔とか仕草が違うことくらい、私大分前から知ってましたよ。」

さも当然のように笑うヒメに言いようのない喜びと愛しさが胸の中で溢れ出しました。今まで私達を見分けられたのは両親だけでしたので、これには本当に驚きました。

「ヒメ、ありがとうございます。」

堪らなくなってきつく抱き寄せると、恥ずかしそうに顔を赤らめながらヒメも私に体を預け、細い腕を背中に腕回して下さいます。

「あの二人あれで付き合うてへんの?」

「ノボリ本当に好きな子には奥手だから!」

「あんなにモテるんになぁ。」

何かクダリとクラウドがこそこそと言っている様でございましたが、私は腕の中の暖かい体温に意識を奪われそれどころではありませんでした。

その後はヒメが作って来て下さったお弁当を頂きました。いつも通り大変美味しく、私達好みの味付けでございました。帰り際に、今日は肉じゃが作って待ってますねと言い去って行ったヒメの後ろ姿を見ながら、今日は残業しないと心に決め午後からの業務に取り掛かりました。つい先程まで此処にいたというのに早く会いたくて仕方がないのです。



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