ノスタルジックガール | ナノ

23

ばたんとドアがしまってヒメが出て行きました。あんなに顔を真っ赤にして本当に食べてしまいたい位可愛らしいお方でございます。私のことをもっともっと意識して頂きたいのです。

「ノボリ積極的!」

「えぇ、他の方には取られたくありませんので。」

「ぼくもヒメとずっと一緒にいたいな。ヒメが来てくれてから良いことしかない!」

クダリの言う通りでございます。まず仕事面では、私達の秘書のような役割をお願いしております。バトル以外にも書類業務も多いのですが、サブウェイマスターとして目を通しておかなければいけない書類は机の上に山積みになっている内の半分程度なのでございます。書類は一通りヒメが目を通し、私達のサインが必要なものだけを持ってくるという流れでございます。データの入力作業など事務的なことや迷子のポケモンのお世話もして頂いております。それから、バトルサブウェイもライモンシティの名所なだけあり外から様々なお客様が見学にいらっしゃることもあります。そういった方々の案内する業務もございます。持ち前の愛想の良さと礼儀正しいところがうまく合わさりご好評なようです。私達は今まで残業してやっておりましたトレインの整備やシステムのチェックなどに手が回るようになったため、定時で帰れる日が多くなりました。

そして、私生活面も大きく変化しました。寝に帰っていただけのマンションも、今では私達より早く上がった際にはヒメがいつも手料理を作って出迎えて下さる暖かい家になりました。一緒に定時で上がった時には近くのスーパーまで晩御飯の材料を買いに行き、ヒメが食材を選び、私がその横でカートを押してその日の晩御飯のメニューのことを話すのも私にとってとても大切な時間なのです。食事が済んだ後はリビングにで手持ちのポケモン達と遊んだり、今日あったことを色々話したりゆったりとした時間も過ごすことが出来て大変充実しているのです。

「ぼくね、バトルは大好きだけど書類とかはあんまり好きじゃない。でもぼくが書類終わらないとヒメが帰れなかったりとかお仕事増えちゃうのいやだから最近はがんばってる。」

クダリがこう言うのにもとても驚きました。以前のクダリは書類は溜めに溜め込み、期限ギリギリにならないと手を付けないことがしょっちゅうでした。これには鉄道員達もほっと、していることでしょう。


本当にヒメが来てから全てが良い方向に向かっているのでございます。今の生活も非常に満足しておりますが、ヒメへの気持ちを自覚した今、更に貪欲になってしまう私がおります。この前のエリートトレーナーの一件もあり、ヒメのことはしっかりとお守りし、私と同じ気持ちになって頂きたいと思うのです。

「もうすぐ書類終わるし、早くヒメ帰って来ないかな。」

「そうですね。」

クダリと話をしながら、ヒメが入れてくれた少しだけ甘めのコーヒーを飲みながらそう思うのでございました。



prev next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -