02
「ランクルス以外にはどんなポケモンを連れていらっしゃるのですか?」
「ふふっ、秘密です。スーパーシングルでバトルするときまでのお楽しみですよ。」
ギアステーションまで帰る車輌の中で、スーパーシングルのことなど、少しだけ話をしました。もっと沢山彼女のことを知りたかったのですが、彼女が自分の横に座っていると思うだけで私の頭の中は真っ白でございました。かろうじて出て来たのはポケモンの話題だけです。
すると、私の腰に付けているモンスターボールがかたかたと揺れ始め、パートナーのシャンデラが出てきたのです。
「こら、シャンデラ!いけません!」
私の制止の声も聞かずにシャンデラは彼女のところまで行き、すりすりと彼女に頬擦りを始めました。私のシャンデラは中々人に懐かず、懐いているのは私と双子の弟のクダリ位でございました。なので、この光景は少々驚きました。
「わあっ、シャンデラだ!可愛いー!」
楽しそうにシャンデラと遊んで下さる彼女を見つめる幸せな時間も束の間、ギアステーションに到着のアナウンスが入りました。大変名残惜しいですがここで一旦お別れでございます。
「次はスーパーシングルトレインでお待ちしております。」
「はい、早く行けるように頑張りますね!」
そう言って手を振って翔けて行く彼女に手を振り返し、久しぶりに常に下がったままの口元が緩むのを感じました。
「シャンデラも早く彼女に会いたいですか?」
と問うと大きく頷きました。
彼女は不思議なお方でございます。
そこで私は気付きました。
彼女の名前を聞くのをすっかり忘れていたことを。