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「おー、黒ボスも意外とヤキモチ焼いたりするんやなぁ。」
「ヤキモチ?何のことです?」
「・・・嘘やろ、気づいてへんの?」
ヒメとカズマサが執務室を出ていくなり、クラウドに言われたのでございます。ヤキモチとは一体。私がですか?
「やっぱり気付いてなかったんだね。」
「クダリまで何を言っているのですか?」
クダリが困ったように笑いながら私の横に座り、一つずつ言葉を選ぶようにゆっくり話し始めました。執務室のドアが閉まる音が耳に入りました。おそらくクラウドが気を利かせて出て行ったのでしょう。
「さっきなんでヒメの手掴んだの?」
「それは、その、特に理由はありませんが・・・」
「嘘ばっかり。カズマサがヒメの手を握ってたのが嫌だったんじゃない?だから咄嗟にヒメの手を掴んじゃったんでしょ?」
確かにあのときカズマサがヒメの手を引いて行こうした時、そして二人で執務室に帰ってきた時言いようのない感情が湧き上がりました。
「だからさ、ノボリはヒメのことが好きなんだよ。」
クダリのその一言に私は衝撃を受けました。お恥ずかしいことに今まで女性にそのような感情を抱いたことがないのです。確かにヒメは愛らしく、私もいつもクダリが抱きついているように抱き締めてみたいと思ったことが何度もありますし、何かあった時は私が守って差し上げたいと常々思っております。そしてヒメが私に笑いかけて下さるとこれまでにないくらい心が安らぐのです。これが恋慕なのですか?このことをクダリ言うと嬉しそうに笑いました。
「ぼくノボリとヒメが幸せになって欲しい。ノボリが自分で気付くの待ってたけど、中々気付かないんだもん。それにヒメすっごく可愛くて優しい。だからバトルサブウェイにもヒメのこと好きな人沢山いるんだよ。早くノボリに自覚して欲しかったんだ。」
「そうでしたか。クダリ、ありがとうございます。」
「全然!ヒメが来てからノボリ変わった。前より表情が柔らかくなったって皆言ってた。それにヒメのこと大切に思ってるのよく分かる。もっとヒメに積極的でも良いと思う。」
「積極的、ですか?」
「そう。ヒメも鈍感だからそれくらいしないと気付かない。」
「なるほど。参考にしてみます。」
なんだが改めて自覚しますと恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちでございます。積極的ですか。私にはいささか難しいようですが他の方にヒメを取られては大変困りますので私なりに頑張って見ましょうか。