ノスタルジックガール | ナノ

15

「ただいまー!」

「只今帰りました。」

玄関を開けてそう言うと、キッチンからぱたぱたとヒメが走ってきた。ぼくが選んだフリルのエプロンよく似合ってる。

「おかえりなさい!今日もお疲れ様でした。」

コートと帽子を預かってくれるヒメをぎゅっと抱き締める。癒されるなあ。ヒメはぼく達が知ってる女の子とは全然違う。礼儀正しくてキンキンした声で騒がないし、絶対に媚を売ったりしない。ぼくらの外見だけじゃなくてしっかり内面も見てくれる。まだ会ってからそんなに時間は経ってないけどヒメの大切に思ってる。ノボリだってきっとそう。

「ご飯なあに?」

「今日はハンバーグにしてみました。」

「ぼくハンバーグ大好き!」

「ふふ、それは良かったです。いっぱい食べて下さいね。」

「ヒメ様、いつもありがとうございます。」

「いえいえ。こちらこそたくさんお世話になってますから。」

ヒメの作ってくれるご飯はすっごく美味しい。今までは夜ご飯は外で食べてきたりとか、買ったものばっかりだったから、ご飯を作って待っていてくれる人がいるのって有難くて幸せなこと。







「今日は一日何をしていらしたんですか?」

ご飯を食べ終わって、ヒメが入れてくれた紅茶を飲みながら(ノボリはコーヒー)リビングのソファに座って話をしていた。

「今日は特に予定もなかったので、ポケモン達と遊んだり、頂いた電車の時刻表を覚えたりしてました。」

ヒメはとっても努力家。電車の時刻表とかは仕事が始まってから覚えれば良いって言ったのに、お客様に聞かれた時にすぐ答えられないのは嫌だからって。

「ヒメ偉いね。」

「ギリギリまでやらない誰かさんとは大違いでございますね。」

「ノボリ失礼!」

「間違っていないでしょう?ヒメ様を見習って下さい。」

言い合っているぼくらを見ながらくすくすとヒメが笑う。ヒメが来てくれただけでこんなにあったかい空間になるなんて。ぱっとヒメがノボリの方を向いた。

「ノボリさん、」

「はい?」

「ずっと思ってたんですけど、私のこと様付けじゃなくて、ヒメって呼んで下さい。」

「・・・宜しいのですか?」

「もちろん!いつまで経っても様付けじゃなんだか他人行儀で淋しいじゃないですか。」

「わかりました。ではそう呼ばせて頂きます。」

わあ、ノボリが女の子を呼び捨てで呼ぶなんて初めて。今まではそう言われても絶対断ってたのに。なんだかノボリ嬉しそう。

「さて、明日から仕事ですし、今日は早く寝ましょうか。」

「そうだね。明日からぼくらがヒメのこといっぱいサポートするからね!」

「ありがとうございます。私も早く仕事を覚えて、ノボリさんとクダリさんのお役に立てるように頑張りますね。」

笑いあってそれぞれの寝室へ向かう。今までも十分楽しかったけど、明日からはもっと楽しくなりそう!




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