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え、なにこれ。
ほんとにこの人たち此処に住んでるの?
ノボリさんとクダリさんに連れてこられたのはギアステーションから歩いて5分くらいのところにあるマンション。これ一体何階建てなの?しかもエレベーターに乗って着いた先は最上階。うわあ、60階だって。正面のエントランスを開けるカードキー。エレベーターに乗るためのカードキー。そして部屋を開けるための暗証番号と指紋認証。
「あ、このフロアぼくたちの部屋しかないからね。」
嘘でしょ。あり得ない。
「中へどうぞ。」
見た目通り広い。広すぎる。大きな窓からライモンシティも一望出来る。しかも最新のシステムキッチンだ。でもあんまり使った後がない。勿体ないなあ。というかこの部屋は全体的に生活感がない。それよりも私言わなきゃ。
「ヒメ様?どういたしましたか?」
「あ、あの!家賃はいくら払えばいいですか!?」
「家賃?そんなのいらないよ?」
「でもっ!流石にこんなすごいところにタダで置いてもらうのは・・・」
「私たちが来て欲しいと申し上げたのです。気にしないで下さいまし。」
「そうそう!じゃあさ、ヒメにはごはんとかお願いしたいな。ぼくたち見ての通り寝に帰ってくるだけだから、帰ってきたらおいしいごはん食べたい!」
「そんなことで良いんですか?」
ね、お願い。ってクダリさんが小首を傾げながら言ってる。この人可愛いなあ。ほんとに年上?ってそうじゃなくて!料理は好きだけどそれじゃあ絶対に割に合わない。
「そんなことではありませんよ。私たちそれがとても嬉しいのです。」
少しだけ口角を上げて言うノボリさん。あまり表情が変わらない人だと思ってたけど、意外にそんなことはなくて。
「はい!じゃあ全力で頑張りますね!」
ふと、クダリさんが思い出したように、
「ヒメっていつから働いてもらう?」
「そうですね。制服などもございますし一週間後位が丁度良いでしょう。」
「制服・・・ですか?」
制服?あの鉄道員さん達が着てる緑色のを着ると思ってたけど違うの?
「あれ可愛くない!ヒメには可愛いの着て欲しいもん。」
可愛いのって。それは職権乱用というのでは。
「確かに一理ありますね。では明日は休みですし、彼女に相談するとしましょう。」
「それいいね!」
彼女?彼女ってだあれ?