10
「クダリ、さっきから落ち着きがありませんよ。」
「ノボリだってさっきから時計ちらちら見てるくせに。ぼく待てない!ヒメに何時頃来るのか電話してくる!」
電話?
いつヒメ様のライブキャスターの番号を聞いたのです?問い詰める前に走って外に出て行ってしまいました。まさかクダリがヒメ様の連絡先を知っていたとは。私も本日聞かなければいけませんね。クダリに先を越されてはいけませんから。
「ヒメもうすぐ着くって!」
ここのカフェはギアステーションの近くに最近出来たのですが、中々美味しくて尚且つ個室がありますので気に入っております。個室でなければあまり気軽に外でも食事が出来ません。サブウェイマスターであることは大変誇りに思っておりますが、あまり騒ぎ立てられるのは得意ではこざいません。
さて、余談はここまでにしてヒメ様の返事を聞きましょう。
「考えてくれた?」
「はい、もう私の答えは分かってるかもしれませんが、是非働かせて頂きたいです!」
私がありがとうございますとお礼を言おうとすると同時にあろうことかクダリがヒメ様に飛び付いたのです。
「ヒメ!ありがとう!ぼくすっごい嬉しい!」
「こちらこそありがとうございます!私も一緒にお仕事出来るの楽しみです。」
嫌がりもせず笑いかけるヒメ様。クダリはスキンシップが激しいので注意しなければいけませんね。
「クダリ、離れなさい。ヒメ様、本当にありがとうございます。私も大変嬉しく思います。」
「こちらこそです。精一杯お二人をサポート出来るようにがんばりますね!」
そんなヒメ様の花が綻ぶような笑顔をこれからもっと近くで見れると思うと幸せな気持ちになります。
「あ!ノボリ笑ってる!珍しいー!」
「気のせいではありませんか?」
無意識に笑っていたのでしょうか?確かにいつもは使わない顔の筋肉を動かしたような気が致します。初めてヒメ様にお会いしたときも同じような感覚を味わったのが記憶にございます。自分で言うのもおかしな話でございますが珍しいことだと思います。
さて、ヒメ様にお聞きしなくてはいけないことがございました。