かきもの | ナノ


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新年明けました、今歩くは参道、初詣なんて何年ぶりだろう。それでも大事なひとが周りに大勢いたころは祈ることもその数あって、祈ることがその数できたからこの道を久々に歩けるというものだ。隣にはこれから僕が幸福を祈る中のひとりがいて、さっきふたりぶんの甘酒を買ってくれた彼は寒いのを我慢しながら両手でスチール缶を包みこんでその髪の毛より幾分白い息を吐く。僕が今年もこれだけの幸せと責任感をしょえたらなあって思いながらも祈るはやはり別の幸福、どうやら彼の牧歌的な質がうつったようだ……僕も甘酒を舐めるように飲みながら同音異義の産道にノスタルジーを感じている。手を叩くのにも意味があったよねえと言おうとして、どこか張りつめた願いの気にあてられてしまう。誰しもきれいきたない関係なしの欲ばかり持ちあわせるのは人間ならでは、生まれ来るときはこの世の総てをその手に握りしめるかのように至る、産道、参道、同音異議といえどまったく異なるのではないらしい。豪炎寺くんは澄んだ夜の空気がお好きのようで、寒がりのくせに何度も星屑を飲み干そうとしている。肺に蓄えられた星たちを、あとで口うつしで分けてほしいと思う元旦。






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