ねためも | ナノ


シャーマンキング
完全版のネタバレちょっと含みます




「昔のことを、ずいぶん引き摺るようだな」
「ん、……まあ」
「らしくない」
「そうかよ」
蓮は腕組みを解かないまま俺を見定めるかのようにする。値踏みはやめてほしい、おれは天然記念物とか、そんなんじゃない。
昔のことっていってもいろいろある。蓮がどのことを指し示したのかは分からなかったけれど、それらを掘り返して眺めることを「らしくない」の一言で済まされるのは、彼に対してはじめに覚えた反感を呼び起こした。
「楽観主義者に見えたか?」
「いや」
皮肉を交えて吐き捨てたものを、蓮は簡単に否定した。良いとこの坊っちゃんのくせに、芯の強い男だった。他人の要塞を前にしても決して曲がらない。
「羨ましいものだ」
「おれがか」
「誰が貴様だと言った」
不愉快極まりない顔をして、いつも寄せられている眉をさらにきつく寄せた。その表情は上辺だけのものとすぐに判ったのだが、水面下は不透明でとても察知できるものではない。昔のこととは……
「輪廻を捨ててそばにいるなど、全く笑える」
昔のこととは、つまり恋のことだったか。
「俗なことに興味持ってんだな、お坊っちゃん」
死なねえのがいちばんさ、と呟いたものの彼はとっくに知っているのだろう。





120318 爪先に乗る偽善者




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