世界を変えられるのは、煙る火の、煌々と輝き、荒く、誇らしいとき。それは揺らぎます。回ります。揺らぎがピタリと止まったころ、再生は訪れるのだと知っていました。
僕の周りのものをすべて揺るがして、あわよくば、僕を溶かし空へ立ちのぼらせても欲しかった。
僕のことばに彼はただ目を見張って、幾度かまばたきをしました。
(なんだか、なあ、ふつうに、いきていたかった、なあ、しのばせるもの、なしに)
「火は氷を溶かすが、水は火を消すだろう。それに炎は常に赤や橙をしているんじゃあ、ないんだ」
「それは哲学なの、なぞかけなの(わかっていました、ほんとは)」
「自分で考えてみろ」
「(あいしてるということだなあ、おもい、ことばだ、ぼくには)」
巡るのが嫌いなだけなんだね、きみは知恵の輪を壊すでしょう。
それが幾分僕を救うか知らないだけ、彼は狡猾でした。止めるためのピリオドをクエスチョンに掛けるあたり、ユーモラスで済ますつもりなのかしら。
「ありがとう」
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