ねためも | ナノ


円堂←風丸


大事なひとを喪いました、彼はとおいとこへ旅立ってゆきます、遺されたひとは泣いてはいけません、俺は彼が快いきもちで旅立てるようにしなくちゃいけません。

馬鹿でかい花束、白い服、とても静か、厳かな言葉、泣いてるひとがいる、俺は泣かない。俺の目の前を大事なひとが通り過ぎてゆく。俺は黒いスーツの襟をただす。地味なボタンが音を立てる。みんな口々に声をかけているけど、何も言えない。大事なひとは外へ旅立ってゆく、白い階段を降りてゆく。

……鐘の音が聞こえる……ブーケトス、俺にブーケは要らない……ライスシャワー、俺は笑ってみせる……
(頭が割れそうだ!これ以上どうして俺を責め立てるっていうんだ!)
「……おめでとう、ずっとお幸せに」
今日は結婚式、俺の大事なひとを目の前で喪う日に、ありったけの祝福の言葉を捧げたく思う。だがどんなに笑ってみても、握る手の先は俺ではなかった。




120106 傘下で隠す




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