ねためも | ナノ


ポッキーの日記念




僕は彼の抱える小さな袋に興味を持ったのだった。
「なあにそれ」
「ポッキー」
ふうん、と僕は唸った。日付も曖昧なので、今日が何の日か忘れてしまっている。
「今日、11日?」
「ああ」
「だからかあ……豪炎寺くんもそういうの意識するんだね」
「たまにはな、」
はにかむように豪炎寺くんは笑った。口角を僅かに上げるだけの、シンプルな微笑だった。
「ポッキーゲームは?」
「するか?」
「せっかくだし、したいなあ」
「分かった」
豪炎寺くんはプレッツェルをやさしく噛んだ。僕がやったら折れてしまいそうで、すこし怖かった。
「……、ん」
「……あ、僕にチョコのところくれるの?」
「ん」
唇を小鳥のようにつきだす君は愛らしいのに、僕はまだ最高の形容を知らないのだ。
「ふふ、ありがと……」
僕は彼を真似て怯えつつプレッツェルをくわえる。折れてしまわないかと臆病になる僕に、豪炎寺くんは海みたいに深い瞳でゴーサインを送った。
(これからもよろしくねって言いたいけど、それはキスまで済ませた後にしようかな)




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