ダンボール戦機
灯りをひとつたりとも付けるなと言うこともあった。彼がセックスを仄かな明るみの中ですらしたがらない理由は、いくつか考えられたものだ。しかしそれに決定的に頷けるものは未だない。さながら恐竜の絶滅がどうであったかに似ると皮肉にも思う。やつについて言えるのは、彼の眼光が時折かなしいほど鋭くなることを俺が知らないとでも思っていた……ということくらいなのだろう。
(右手で両目を覆い隠せば一瞬間微笑む、夜に交えて零す台詞はなるべくなら聞きたくなかった)
どれだけ砂糖を加えたところで、舌先に残る苦味は消えないのだ。
111102 スプーンと考察