ねためも | ナノ




自分が無いところが似ていた。けれども決して誰彼構わず流されるわけではなく、たったひとりを持っているところも似ていた。

「僕は吹雪」
「俺はヒロト」

吹雪は土になりたいと言う。ヒロトは空になりたいと言う。ふたりの視線の先は常に真逆を指していたけれども、ふたりの探すものはやはり同じであった。存在意義を探した。名前のある存在意義は見つからなかった。だが彼らは不意に視線を平行に保ったとき、名前の付け方を教わった。彼らはまだ曖昧さの残る意義に、自分に課された名前を付けた。

「僕は吹雪士郎」
「俺は基山ヒロト」

今でも時折、互いの名を氏名揃って呼ぶことがある。そのたび幸せな気分になって笑いあい、懐かしむように天と地を見つめるのだった。




110918 The birth




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